「ミッキーーどこいるのー?」とは玲の言葉である。ここは夢の国ではなく、自宅で私を呼んでいるのである。対してミニーはぬいぐるみである。私は男だからミッキーを仰せつかった。
玲の中では男と女が明確にあるようだ。男は格好いいし女はかわいかったり綺麗だったりするという感覚らしい。昨今ではあまり声高には言いづらい感じがしなくもないけれど彼女の中ではそういうものなのだ。
今日は花さんも在宅で、昼食を食べにパスタ屋に行った。こうやって面と向かってゆっくり話をするというのは大人同士の食事の時に限られる。家で話をしていても、子供たちに腕を掴まれ、話の腰を折られ、寝ていても腹を蹴られる。
仕事を終えると、まず玲を迎えに行った。外ではミッキーと呼ばれたことはない。パパー!である。キャンディー屋でも「パパにはぶどう味ね」だった。
理子を迎えに行くとコーチにいつものように遊んでもらう毎回新鮮なリアクションで楽しそうな玲である。
家に帰るまでに話をするのがスイッチの切り替わりタイムである。
いつも見る一軒家のガレージの大きな扉が板チョコみたいで美味しそうだとか、お月様がきれいだとかそういった話をしながら帰る。
玄関を開けるまえに、「今日の夕飯はなにかなー」と嬉しそうな理子。
花さんが夕飯を作っているところを見ると「手伝うー!」と率先してやろうとする。
素晴らしい理子である。
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