「世田美に行こう」と花さんが誘ってくれた。私が以前チラシを見せて、行ける時に行きたいと言っていたのを覚えてくれていたのだった。
それは音楽にまつわるアート展でバスキアや大竹伸朗などが見れるとのこと。見た後は砧公園で遊べばいいということもあり、午前中から出かけることにした。
日差しにあたると暖かいけれど、基本的には寒いので花さんのスヌードを勝手に借りた。みんなで自転車に乗って出発する。
いい天気で実に公園日和だった。世田谷美術館に入ると、まず検温をし、マスクをしていない玲のことを咎められる。売店で売ってるということを伝えられ「着用しなくては入れないわけでもないけどね、察して」といったふうだった。3歳の玲が大人しくつけることなどありえないけれど、こちらもポーズとして売店で買って一応身に付けさせた。すぐさま玲が自分で取り去ったのは言うまでもないのだけど。
会場の外からなんとなく感じてはいたのだけど、この展示はメインではなかったらしく、200円という入場料だった。メインの方と合わせるとお得であるということを言われたけれど、結局足早に見て終わってしまうので、当初の予定通りにした。
展示は横尾忠則のポスターから始まり、広いフロアでいろんな美術家、芸術家の作品が展示されていた。目玉はなんといってもバスキアと大竹伸朗、アンリルソーといったところか。
学芸員の方々は子連れの我々に幾ばくかの警戒心を軽く持った様子で、子供の挙動を見守る。私だって何億とする作品の前で3歳児を野放しにするわけではないのだけど、やはり偉大な作品を前にすると手に汗をかいてしまう。
花さんは気を遣ってくれて、理子と玲を連れて会場の外へ行ってくれた。私はもう少しゆっくりと見て回った。なかには荒木経惟の大きな写真作品もあった。
バスキアの力強さは言うまでもない。大きなものを作ろうという前に、自分が描きたいものを考えたら必然的にこの大きさになってしまった、という感じがする。具材が立体的に重ねられて力強く、またカラーコピーのようなものを重ねて貼り付けているような質感があった。
そのほかに気になった作品は、アドルフ・ヴェルフリという人のもので、絵の中に五線譜のようなものがあり、音符で模様のようなものを形取っていた。しばらくその場で鑑賞する。理子にもちゃんと見せてあげたいなと思った。モチーフがわかりやすいのである。
それからみんながいるところに戻って、理子だけ連れてもう一度会場に向かう。そしてバスキアとヴェルフリのところに行き、作品を見せてみた。とにかく本物を見るという機会を作るというのは大切なことだと思う。この瞬間に何かを感じ取ることは難しいかもしれないけれど、記憶力のいい理子は、いつか大きくなったときにふと思い出すかもしれない。親ができるちょっとしたことである。そんなことを今年も積み重ねていけたらいいなと思った。
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