2022年1月31日月曜日

ラフシモンズのデトロイトランナー

 



お洒落は我慢などというけれど、久々にそれを実感した。

寒い時はかなり着込むなどして、服で我慢などしないことが多い私である。

メルカリで買ったラフシモンズのデトロイトランナーという名前のついた靴。レビューを探し、購入したのだけど、かなり痛い。

出品者は数回着用したのみ、とのことだったのだけど、それも納得できる。

履いてらんないんだろう。

靴というのは、ある程度足の形に調整するための紐があり、布の伸縮でフィット感を生むと思うのだけど、この靴はフィットさせる部分を異素材で固定している構造である。

故に、靴が人に合わせるのではなく、靴に人が合わせろという形をしている。

昨日、近所へ出かけるために履いたのだけど、ドラクエ の沼地よろしく歩くたびにズキズキと足が悲鳴を上げる。とてもじゃないけど、ランナーなどにはなれない。どうしてこの靴にランナーという名前をつけたのか謎である。

そして今日も昼食をとりに近所に出かるために履いたのだけど、やはり痛い。

昨日とはアプローチを変えて、靴下を薄手のものにしたり、紐を緩めたりしたのだけど大差なかった。

この靴で出社し、そこで地震が起きてしまったなら、私は完全にピンチである。とてもじゃないけれど歩いて帰ることはできそうにない。

中敷を入れるといい、というレビューを見て、ニューバランスのものを入れてみてもダメだった。必要なのは天地方向の調整ではなく横幅のようだ。


私がこの靴を履いているところに出くわしたのなら、それはきっとやせ我慢をした姿である。


2022年1月30日日曜日

スタジオコースト

 理子に聞くと「パパの好きなこと」というのは音楽を聴くことという認識らしい。たしかになにかにつけてiPhoneで音楽を聴いて持ち歩いているからそういう認識なのかもしれない。

で、つい最近スタジオコーストが閉店?したというニュースを見た。

まさに私がクラブ活動を始めた頃にオープンした、トーキョーを一番感じる場所だったような気がする。夜中に渋谷に集合し、バスの整理券をゲット。0時過ぎにバスに乗って新木場に行く。着いてすぐにバスの券まで確保しておくヒヨッコではあったけど、屋外のスペースから見た朝陽とか、ウォーターバーとか、ドデカい赤いスピーカーとかそういうのを覚えている。何杯も飲んだテキーラ、ジントニック。ここで出会った友達もいる。今思い返すと本当に私が体験したことなのかなとも思うけど、それが私の20代前半を彩ったことの一つには違いない。

そんな場所の一つがなくなってしまうことに寂しさを感じてしまう。でも足が遠のいてしまった私のような人たちが他にもいっぱいいたりしたのが原因の一つなのかもしれない。

この先、音楽を聴きに出かける予定があるといえば、3月に理子のピアノの発表会である。

それが開催されるか否かはコロナ次第ではあるのだけれど。


2022年1月29日土曜日

土曜日

 理子は友達の家に行くと言って、10時過ぎに花さんと出かけて行った。遊びに行くと言うと玲に泣かれるので、注射をしに行くと言って出て行った。こういった小さな嘘をつかないといけないのは心苦しいところである。

しかし話はどうあれ、ニコニコ笑顔で見送ることに成功した。

それから私は洗濯物を干し、お出かけする支度をした。

玲にとっては公園に行く=お菓子を食べれる、という図式があるようだ。しきりにお菓子は何をもっていくのかということを気にしている。それはいらない、こっちにして欲しいということを言う。

いつも行く近所の公園では人は少なかった。寒いしコロナだし、というところだろう。

すこし滑り台で遊ぶと、すぐにお菓子を要求してきたので、お菓子を食べに公園に来たわけではないということを伝えた。またしばらく遊んでからお菓子を与えた。

とても嬉しそうである。


12時前に駅ビルに入っているうどん屋に行って昼ごはんを食べた。玲とのコンビの時は大抵ここで済ませる。やすいし早いし待たないからである。

それから電車に乗って二子玉へ行く。

H&Mで玲にドレスを買うという約束をしていたのだ。すると玲はエスカレーターで登っている時に見えたものに当たりをつけ、レインボー柄の半袖のものがいたく気に入ったよう。

これがいいと言って離さなかった。

それから理子のレギンスを選び、買った。ユニクロに行き、追加でレギンス2本。

31アイスで玲には苺、私はチョコのアイスを食べた。

それから公園に行った。パパこないでーと言われるので遠巻きに玲を見る。

いろいろな親がいて、いろいろな子供がいる。

この中にもコロナの人がいるのかもしれないと思うと、もはや運に委ねるしかない。


そろそろ家に帰りたいというので、電車に乗って帰る。

家までの道すがら「れいー」ということが聞こえたので声のしたほうに振り向くと、

花さんと理子が自転車に乗って近寄ってきた。

「注射どうだった?」と聞くと「楽しかった!」という理子。

どういうこと?という玲の顔が面白かった。

2022年1月28日金曜日

平和な金曜

仕事の嵐が過ぎ去って、落ち着いた一日だった。

というわけでお昼は二子玉まで花さんとご飯を食べに行った。回る寿司屋だけど、二子玉仕様。舌の上でとろけるネタであった。家族4人で食べる「くら寿司」よりも高いお会計だったけど、かなり満足度の高い食事となった。

その後ちらっとユニクロに寄ってUの新作を見る。試着すれどもなにも買わなかった。

その後帰宅。

どこからともなく聞こえてくる重低音にイライラし、

18時に仕事を終え、玲と理子のお迎えに行った。

平和に終わった金曜だった。

2022年1月27日木曜日

朋あり遠方より来る

 最近の小学一年は、「ともありえんぽうよりきたる」などと口ずさむようである。そして「またたのしからずや」と続ける。

自分がこの論語?故事?を学んだのはいつのことだったか。高校生だったような気がする。そしてその成績は散々なものだったと思う。

記憶力がいいのは小さな子供には結構ありがちな特性らしいのだけど、是非このまま物覚えの良い状態で成長して欲しいものである。


今日は5時間授業で(私が小学校の頃は大抵4時間だった気がするけど)帰ってきた。家に帰ってまずすることが宿題というのだから、のび太とは正反対だ。

「面倒くさいから早くやっちゃおう」などともいう。面倒なことはなるべく見たくないと思ってしまう私とも正反対である。

算数のプリント、国語の教科書の音読(ほぼ暗記している)を終えると理子の自由タイムが始まる。すなわちYouTubeタイムである。

私は理子にココアを作ってあげた。牛乳を小鍋で温めて、そこにココアを投入する。沸騰する前に火を止めてコップに入れる。

私は引き続き仕事をする。今日は本当に長いこと対応していた案件が終わる日で、ようやく肩の荷が降りる。

なにかを買ってしまいそうな衝動にかられる。明日は給料日だ。



2022年1月26日水曜日

夕ご飯

昨日の夕飯は、ママが朝から仕込んでいたスペアリブだった。それを一瞥した理子は「美味しくなさそう」とのたまう。偏食の玲は見向きもしない。理子はお皿に乗ったそれには目もくれず、納豆をひたすら食べ続けた。

ママのモチベーションがダダ下がりする音が聞こえるようだった。

「もう来週から夕飯作るのやめようかな」とママは言う。せっかくの夕飯だけど、重い空気が漂った。ストライキ宣言である。

「ストライキになってもそれは仕方がないんじゃない」と私は言う。大人だって傷つくのだ。それは大人からでも子供からの言葉でも関係ない。言葉の重みは、放たれた後は誰からというのは関係なく、重いのだ。

ようやく理子はこの状況は自分がもたらしたのだと気づきはじめたようだ。普段はあまりしないような玲を嗜めるようなことを言い始める。

月曜日と火曜日は休肝日と決めている花さんがビールを飲んでいる。もうそういう気分なのだ。

いつもより沈黙が長く続く。「食事中は静かに」という種類の静けさではない。

そして理子が口を開く。「ママ、美味しくなさそうって言ってごめんなさい」

私は単純に「すごいな」と思った。自分の過ちを素直に認めて謝ることができたのだ。私はとくにママに謝りなさいよ、ということは言わなかった。それでも理子なりにこれはまずいと思ったわけだ。少し前の理子だったら訳もわからず泣いて終わったであろう。謝ることもできずに。


理子が謝ったから、私も言葉を重ねた。

「ママはね、理子が帰ってきたころにはお腹が空いてるだろうから、すぐに食べられるように朝から支度してくれてたんだよ。それを美味しくなさそうって言ったら悲しいよ。大人でも言葉で傷つくことがあるんだよ」と。

この頃には花さんも理子も号泣である。しかし涙の後には和解があり、また笑いも生まれたのだった。

なんだかとっても成長をしているんだなって思った。

難しい言葉を言えたり、長い文の暗唱をすることもすごいけど、自分の気持ちを相手に言う、非を認めて謝るなんて大人でも難しいことをやった理子に私は「偉かったね」と言って抱きしめた。

その後、オセロで理子と対戦する私。結果は私の勝ちで、その後花さんとも理子は対戦したが花さんの勝ちで、ボロ泣きする理子であった。

2022年1月25日火曜日

なるはや

 月曜の夜、食事も風呂も、理子の宿題も終えてからオセロをした。

最初は順当に自分の色を増やしていたった私であったが、いつの間にか盤を埋めていたはずの色面積が逆転した。そして私は置けるマスがなくなり、スキップするハメとなった。

そして結果は理子の勝ち。なんということだ。

その後、花さんと理子が対戦したところ花さんが圧勝した。酒を飲んでいなかったのが勝因の一つのようだ。理子は泣いていた。よく泣くのは私の小さい頃と同じだ。


火曜日、やっぱり玲は「ママが良い」が発動したため私は上着も着て靴まで履いたのにお留守番になった。

始業時間前ではあるけど仕事を開始する。

お昼ご飯は家で食べた。青森のお母さんが送ってくれたいくらを解凍してサーモンと一緒に丼にして食べた。

その後、「待つ」という仕事を数時間続けている。

今も昔もデザイナーは待つのが仕事で、待った先にあるのは「なるはや」である。


外から子供が遊んでいる声がずーっと響いている。声が大きいのか周りの建物に反響しているからなのか、すぐそこで遊んでいるのかっていうくらいに正直うるさい。

しかしながら、内容は全くわからないけれど、3人で楽しそうである。明日は雪が降るらしい。雪が降って寒かったとしても、もっと外が賑やかになるのかもしれない。

都心で雪が降るというのはそういうものだろう。

2022年1月24日月曜日

月曜日たち

月曜日の朝の支度は時間がかかる。7時55分に理子をなんとか送り出すと、次のステップにかかる。

3歳の身支度というのは理子の100倍時間と労力がかかるのだけど、思えば理子も3歳の時は服のこだわりの権化のようなものだった。夏場はトーマスのTシャツしか着てくれなかった。しかもそれはパジャマ用のものだった。

とにかく玲は理子よりも乙女度が高く、とにかくヒラヒラしていないとダメなモードである。

時間のかかる玲の相手をしていると時間がいくらあっても足りないので、先に掃除などを済ませる。

先日味をしめた手袋作戦を今回も使ってみたけど、月曜日の玲には通用しなかった。結局花さんが保育園へ送りに行った。

私は録画していた「進撃の巨人」をテレビで見た。つい「うわぁ」と声が出てしまう展開だった。

その後仕事にとりかかる。

お昼は一人でラーメンを食べた。

その後も黙々と。

今日の夕飯は私が作った。長芋とチーズ、ハムの挟み焼き。にんじんとツナの和え物。味噌汁。パスタというなんのまとまりもない品物たち。

でもみんな何も言わずに食べてくれる良い家族たちだ。


オセロ

 日曜日、花さんと理子はピアノ教室に行ったのだけど、帰ってくると片手にはオセロがあった。しかしそれはどこにも「オセロ」という表記はなく、「リバーシゲーム」と書いてある。大人の事情なのかなんなのかよくわからないけれど、いわゆるオセロに変わりはないようだった。

食後、早速花さんと理子がやっていた。手加減しない限り明らかに花さんが大人気なく勝つのだろうと思いきや、スラムダンクの花道よろしく「なぜそこに?」という奇襲をかける理子。そして結果的に、花さんはどこにも置くところがなくスキップする羽目になるという事態。

学童で馴らしたようである。我々が知らない才能をちらつかせる理子。

その様を見ていたので私も対局することに。

確かに「あれ」とか「やば」とか、私もちょっとまずいなと感じる場面が多々あり、

大人になってかなり真剣にやってみたところなんとか勝てたのだった。

その後、花さんともやってみたのだけど、どうやら花さんはマッコリのせいで、

いまいちオセロの力を失ってしまったようだった。私が勝つこととなった。

意外とちゃんと楽しいオセロ。子供とボードゲームをやるって楽しい。


金曜を思い出しながら

 金曜日のことを思い出しながら書く。

この日は朝からなかなか幸先の良いスタートだった。

当然のルーティンのごとく、パパとはいかない宣言をした玲ではあるが、花さんが手袋とニット帽を用意してみるとミッキー(パパ)と行くと方向転換をしたのだった。

その手袋はもともと理子のために買っていたものだった。それはウサギの形をしていて、いかにも子供が喜びそうなものだったのだけど、理子は一切着用していなかった。『新品未使用、神経質な方はご遠慮ください』でメルカリ行きを免れた、存在すら忘れていたものだったのだ。ところ変われば品変わる。姉妹でも好みは結構変わるのだった。


いつもそうしていたと言わんばかりの登園となり、久々に嬉しいできごとだった。

その後自宅に戻り仕事をする。

花さんも在宅だったため、昼ごはんを一緒に食べに行くことにした。天ぷら屋を提案してみたけど、きさらぎ亭に行ってみたいというので歩いてでかけた。我々は定食のABをそれぞれ頼んだ。花さんは気に入ったようだ。帰り、私は郵便局へ行った。その道中天ぷらやの前を通ったのだけど、そこは定休日だった。「てんぷら屋は定休日だったよ」と連絡すると「おお、なんか持ってるね、私たち」と即レスだった。


理子は2時過ぎに友達と帰ってきた。この後、その子が通っている書道教室の見学に行く予定になっていたのだった。

こうやって仕事をしながら、理子とその友達が家にいることの不思議さよ。理子からは一体どういうふうに見えているんだろうか。

その後、花さんと理子は書道教室に行き、私は玲を迎えにいった。

金曜日が平和に終わっていった。

土曜日、理子と花さんはキッザニアへ、私と玲はお友達とトーマスランドへ行った。

持つべきものは友であった。

2022年1月20日木曜日

パパと行く詐欺

 結局のところ、「パパと保育園に行く」詐欺に遭い、私は家にステイコースで一日が始まる。

夫婦共に在宅勤務のため、黙々と仕事をする。昨日はまたタイミングを逃してカップ麺で昼飯を済ませてしまったので、今日は朝から昼飯のことを考えていた。

どのタイミングで行くべきか、花さんは一緒のタイミングで出られるのか。

12時頃、今日はどないやと花さんに聞くと出られるというので近所のハンバーガー屋に行くことにした。しばらく前から閉まっていて行けずにいて、バーガー欲がマックスであった。

ご飯を食べながら話す内容は、最近耳が遠くなってしまった気がするとか、加齢に関してのことだったりする。あとは話し言葉をもっと丁寧にしようとか、ヒールを履くべきか否か、など重要なことが話された。

肝心のバーガーはやはり美味しかった。

昼ごはんは花さんが奢ってくれた。我々二人はご飯に行くとシーソーのように奢りおごられとするのがなんとなくの通例となっているのだった。


その後、仕事に戻った。理子は学童に行かずに帰ってきた。まだ明るい時間に家にいるのが不思議で、ついつい抱きしめた。

2022年1月19日水曜日

カメラカメラカメラ

 普段使っているデジカメはFUJIFILMのX20というもので、ハードオフのネットで買った。それを買うまでは、フィルムカメラで撮っていたから、なんとなくファインダーを覗くというスタイルは踏襲したいと思い、ファインダーのあるカメラというものを探した。そしたらそれに行き着いた。特段思い入れがあったわけではないのだけど、使ってみると色味が気に入って使い続けている。


ところがいつからかレンズ内にゴミが入ってしまい、角に黒い点が入るようになってしまった。たまたま会社の近くに本社があり、サービスセンターがあったので持ち込むと買った値段と同じ修理代とのことだった。

その頃からうっすらといつかは買い換えたいなと思っていた。

そして時は経ち、理子の運動会の時、持って行ったX20のズーム機能など意味はほぼなく、全く理子の顔を捉えることはできなかった。それが決定打である。

いよいよ持って買い換えたい機運が増したところにパパ友達もフジフィルムのカメラに買い替えていた。私ももうそういうムードである。暇があれば検索し、この間の一人時間では電気屋で物色し、ユーチューブでレビュー動画をみたりした。

15万くらいするカメラを安いと言い張るユーチューバーには腹が立つが、

それが良さそうである。冬のボーナスは服ではなく、そこに使われることになりそうだ。

X-S10。

近いうちにゲットする。

2022年1月18日火曜日

パパがミッキーであるために

 キャラ設定の重要性に気がついた。パパがミッキーであることをちょっと強調してみたところ玲にはいい傾向が生まれ始めている。まるっきりの拒絶がなくなり始めたのだ。

一年前くらい前は普通にパパとママと半分ずつくらいの感じで登園していたのだけど、この数ヶ月パパを断固拒否でパパが登園したのはママが朝から不在だったときくらいのことだった。

ところが、今朝は途中でミッキーと行くと言ったらしいのだ。それはつまりパパと行くということなのだけど、嬉しい出来事だった。この後すぐにお友達と会ってそのまま行くことになったのだけど、明日はミッキーと行く、とスケジュールを押さえられた形である。

私はただ、いわゆるミッキーの物真似をする人のように裏声で陽気にしゃべっているだけなのだけど、3歳にはよく効くらしい。

明日は数ヶ月ぶりに保育園に送っていけるようだ。

なお、お迎えにはほぼ毎日行っているけど、ここのところママがいいとは言われなくなった。


2022年1月17日月曜日

パパはミッキー

 「ミッキーーどこいるのー?」とは玲の言葉である。ここは夢の国ではなく、自宅で私を呼んでいるのである。対してミニーはぬいぐるみである。私は男だからミッキーを仰せつかった。

玲の中では男と女が明確にあるようだ。男は格好いいし女はかわいかったり綺麗だったりするという感覚らしい。昨今ではあまり声高には言いづらい感じがしなくもないけれど彼女の中ではそういうものなのだ。

今日は花さんも在宅で、昼食を食べにパスタ屋に行った。こうやって面と向かってゆっくり話をするというのは大人同士の食事の時に限られる。家で話をしていても、子供たちに腕を掴まれ、話の腰を折られ、寝ていても腹を蹴られる。

仕事を終えると、まず玲を迎えに行った。外ではミッキーと呼ばれたことはない。パパー!である。キャンディー屋でも「パパにはぶどう味ね」だった。

理子を迎えに行くとコーチにいつものように遊んでもらう毎回新鮮なリアクションで楽しそうな玲である。

家に帰るまでに話をするのがスイッチの切り替わりタイムである。

いつも見る一軒家のガレージの大きな扉が板チョコみたいで美味しそうだとか、お月様がきれいだとかそういった話をしながら帰る。

玄関を開けるまえに、「今日の夕飯はなにかなー」と嬉しそうな理子。

花さんが夕飯を作っているところを見ると「手伝うー!」と率先してやろうとする。

素晴らしい理子である。

バスキア

 「世田美に行こう」と花さんが誘ってくれた。私が以前チラシを見せて、行ける時に行きたいと言っていたのを覚えてくれていたのだった。

それは音楽にまつわるアート展でバスキアや大竹伸朗などが見れるとのこと。見た後は砧公園で遊べばいいということもあり、午前中から出かけることにした。

日差しにあたると暖かいけれど、基本的には寒いので花さんのスヌードを勝手に借りた。みんなで自転車に乗って出発する。

いい天気で実に公園日和だった。世田谷美術館に入ると、まず検温をし、マスクをしていない玲のことを咎められる。売店で売ってるということを伝えられ「着用しなくては入れないわけでもないけどね、察して」といったふうだった。3歳の玲が大人しくつけることなどありえないけれど、こちらもポーズとして売店で買って一応身に付けさせた。すぐさま玲が自分で取り去ったのは言うまでもないのだけど。

会場の外からなんとなく感じてはいたのだけど、この展示はメインではなかったらしく、200円という入場料だった。メインの方と合わせるとお得であるということを言われたけれど、結局足早に見て終わってしまうので、当初の予定通りにした。

展示は横尾忠則のポスターから始まり、広いフロアでいろんな美術家、芸術家の作品が展示されていた。目玉はなんといってもバスキアと大竹伸朗、アンリルソーといったところか。

学芸員の方々は子連れの我々に幾ばくかの警戒心を軽く持った様子で、子供の挙動を見守る。私だって何億とする作品の前で3歳児を野放しにするわけではないのだけど、やはり偉大な作品を前にすると手に汗をかいてしまう。

花さんは気を遣ってくれて、理子と玲を連れて会場の外へ行ってくれた。私はもう少しゆっくりと見て回った。なかには荒木経惟の大きな写真作品もあった。

バスキアの力強さは言うまでもない。大きなものを作ろうという前に、自分が描きたいものを考えたら必然的にこの大きさになってしまった、という感じがする。具材が立体的に重ねられて力強く、またカラーコピーのようなものを重ねて貼り付けているような質感があった。

そのほかに気になった作品は、アドルフ・ヴェルフリという人のもので、絵の中に五線譜のようなものがあり、音符で模様のようなものを形取っていた。しばらくその場で鑑賞する。理子にもちゃんと見せてあげたいなと思った。モチーフがわかりやすいのである。

それからみんながいるところに戻って、理子だけ連れてもう一度会場に向かう。そしてバスキアとヴェルフリのところに行き、作品を見せてみた。とにかく本物を見るという機会を作るというのは大切なことだと思う。この瞬間に何かを感じ取ることは難しいかもしれないけれど、記憶力のいい理子は、いつか大きくなったときにふと思い出すかもしれない。親ができるちょっとしたことである。そんなことを今年も積み重ねていけたらいいなと思った。


2022年1月16日日曜日

一人時間の過ごし方

 かくかくしかじかで、土曜日に一人時間が与えられた。いきなり自由を与えられても人は何をしていいのかわからなくなるものらしく。困った。

理子は半日授業で、帰ってくるまで家事をした。掃除機をかけ、仕舞いきれていなかった子供服をしかるべき位置に収納したりした。

自転車置き場に行き、自分のと兼用自転車の2台の空気を入れた。意外と億劫な作業なのでこういったときにやるのがいい。


理子が帰ってきて、代わりに私が出かけて行った。理子たちは友達の誕生パーティへと行くのだった。

私は空気を入れて少しばかり軽快に進む自転車に乗って、246を走る。以前まで乗っていたスペシャライズドのピストは撤去なのかパクられたのかしてしまい、いずれにしても私の手元から無くなった。かわりに無印で花さんとも兼用できるミニベロと呼ばれる車輪の小さな自転車を買ったのだけど、ちょっとそこまでならいいかもだけど、やはり長距離向きではない。いつかはまた自転車を買い直したいものである。

246を走っていると、電柱や看板の柱などの一定の高さの位置に縦組みで「wanto」の文字が見える。ピストに乗って一気にbombしているのかもしれない。TOMのタグも見つけてついつい写真に撮ってインスタに載せる。

駒沢のブックオフによる。洋書コーナーを見ると「KRINK」や「ソールバス」の写真集がある。随分とニッチなチョイスである。

店を出ると、駒沢通りへと出て、それから目黒通りへ。サムエムに通っていた時代の通勤路にでたが、いまいち街並みを思い出せない。こんな感じだったかな?というくらいだ。

目的の場所は下目黒の「BLITZ」というギャラリーで、ステーキの名店リベラを曲がってしばらく行ったところにあった。

テリワイフェンバックの展示を見るためにきたのだけど、このギャラリーにきたのは初めてだった。ギャラリーにしては珍しいと思うが、音楽がかかっていた。室内は私一人で、ゆっくり、じっくりと見ることができた。光を見つけて写真にするのが綺麗な人という印象。鈴木理策さんや川内倫子さんをふと思い起こさせる。


ギャラリーを後にすると、次の目的地へ。

目黒通りをさらに目黒方面へ進み、大鳥神社を中目黒方面へと曲がる。

もう膝が痛い。自転車の相性なのか、単純にあの頃よりも体のガタが来ているからなのか、わからない。次の目的地は池尻大橋で、中目黒を通るので寄り道をした。

「フィフスジェネラルストア」である。気になっていたアウターを見たかったのだ。とはいえ試着はせず、店内をふらふらと見て回ってから出た。リアル店舗でどうやって過ごせばいいのかすっかりわからなくなってしまったようだ。

また自転車を漕いで「voild」へ。場所は覚えていて難なく到着したのだけど、どういうわけか扉が開いていなかった。調べてみても特に休業ではなさそうだったのだけど残念だった。

それから渋谷へ。電気屋でカメラを見たかったのだ。ヤマダ電機にはデジタルカメラのコーナーがなかった。とても大きな店舗なのに、この店においてはデジカメというのは不要らしい。ビックカメラに行くと品揃えは豊富だった。

フジかソニーがいいなと思って物色した結果、やはり今使っているものの延長で考えようという結論になり、XS10というのが気になった。お値段は15−8万。おいそれと買えるものではないのでカタログだけ持ち帰った。

16時近かったのだけどお昼ご飯を食べていなかった。私というのは一人で行動すると食事や休憩というのが蔑ろになりがちである。

246をまた走り、三軒茶屋の味噌一でラーメンを食べた。久しぶりの味。まだ理子も玲もいなかった時代の、夜通しで働いていたあの頃の濃い味だった。

まだ空が明るければ下北沢にも寄ろうかと思っていたのだけどもうそんな元気もなくなってしまった。またブックオフに寄ってみる。洋書コーナーにはなにもなかった。理子の本を探してみる。宮澤賢治にどはまりしているのでなにかないかなと見てみると「銀河鉄道の夜」があったので買うことにした。

帰り道、MKUEのタグも見つけて、ちょっと興奮する。主要な道を自転車で走って街中のグラフィティを見るのは本当に楽しい。写真に撮って、やっぱりインスタにアップする。

それからは寄り道もせず、家に帰った。家人は誰もいなかった。洗濯を取り込み畳む。

お風呂に湯を張り一人で入った。


風呂から出るとビールを飲みながら、録画してあった「紅の豚」を見た。豚が飛行機を修理するところあたりでみんなが帰ってきた。

そうやって1日が終わった。

2022年1月14日金曜日

偶然

 今日は自宅の補修工事の人が朝から来ていた。もうかれこれ1年以上も壁からの漏水に悩まされていて、今回は最終手段に近いくらいの流れでの工事である。朝の9時から16時近くまでかかるということだったのだけど、意外とあっさり11時頃に終了した。

花さんも今日は在宅で、変わりばんこに食事に出ようと言う話だったのだけど、その必要もなくなったので一緒に食事にでることにした。

ああだこうだと言って悩んだ結果、駅前のカレー屋に行った。店に入ると奥に見慣れた夫婦がいるではないか。同じマンションの住人である。「○○さん!」と思わず声をかけ、隣の席に座った。

このご時世なのでついたてがしてあったのだけど、それをどかして会話をする。子供なしで4人が揃うことなどないに等しいので、邪魔をされない会話を楽しんだ。

食事を終え、階段を降りると気の緩みなのか階段を踏み外した。後ろで大笑いする花さん。

足に異常はなくてよかった。もうアラフォーなのである。気をつけなくてはならない。


花さんは寄るところがあったので、店の前で別れると、向こうのだんなさんも銀行に行くと言う。そうして夫婦がシャッフルされた形で同じマンションへ帰宅した。

仕事を再開し、表紙のデザインをし18時に終了する。

娘たちを迎えに行き、家に帰ると食事ができていて、平日に久々にビールを飲んだ。そんな気分だったのだ。

2022年1月13日木曜日

隣の女

お昼ご飯を外に食べに行った。2週に一度くらいの割合で行く老舗の定食屋である。
そこは歩いていくには、ちょっと遠い距離なのだけど、一日中パソコンを見ているので
意識的に歩かないと体がおかしくなってしまうからちょうどいい。

道中、高校があり校庭では体育の授業が行われているようだった。校庭内を走っている姿が見える。完全にこの子たちに体力で勝てないなと思いながら店へと向かった。
14時を過ぎていたけれど、つい立てで仕切られたカウンターは満席だった。
一番端の席を通され、私は煮込み定食を注文する。
数分で出てくる早さも魅力の一つである。

煮込み→煮込み→ご飯→煮込み
といった具合に箸を運ぶ。隣の席の女性は、同僚であろう男性とずっと話しながら食べている。

すると、男性は先に食べ終わったようで店を出て行った。女性はマイペースで食事を続けている。カウンターにいた客は次第にはけていき、私と見知らぬその女性の二人となった。しかも隣同士である。
勝手にきまずい私とは裏腹に、その女性は券売機に向い、納豆を追加注文していた。確かにこの店の普通盛りは大盛りである。フードロスするわけにはいかぬと納豆で乗り切ろうとしているらしい。

ようやく私は煮込みを食べ終えた頃、隣の女性はまた席を立ち上がった。どうやらお手洗いのようである。私も帰り支度をしようとすると、ふと隣の席に置かれたケータイが目についた。そしてさらにファスナーが開けられ中身が丸見えの鞄。
私だったら席を外れる時は上着は置いて行くにしても荷物は持っていくよな、と思ったのと同時に、あらぬ疑いをもたれるのは嫌だなとも思った。
異常に冤罪を恐れる私。満員電車では無理やりにでも両手を持ち手にかけるべし。
足早に席を離れ、いつもより少し声大きめで「ごちそうさまでしたー」と声をかけ店を出た。

とこの話を夕飯の時に花さんにしたところ、確かにすぐさんは一箇所を見つめる癖があるよねと言う。めっちゃ怪しいじゃん私。

2022年1月12日水曜日

心の葛藤を口にする

 今日は一歩も外に出ない日だった。

朝、当然のように玲は、断固パパ拒否のためママが保育園に付き添ってくれた。

お昼ご飯は出そびれて家で済ませ。

帰りも花さんが二人をピックして帰ってきてくれた。


夕飯後、理子の宿題で揉める。

計算カードを忘れて自作のプリントを作ってやることになったのだけど、どういった計算なのかを私が把握しきれてなく、習ってないものを作ったことに憤慨している。

そこで、お風呂の後にやり直す?と聞くと「ぐぬー」とか「うーぬーむー」とか唸りながら

「なんで自分でもこんなにイラつくのかわからない」と言ったのだった。

なんという独白。

こういう気持ちの持って行き場のない感じとかって今後いっぱい増えるんだろうなと思った次第。でもそういう状態だって言えたのは偉いなーと思った。

2022年1月11日火曜日

青森

 久方ぶりに訪れた青森は深い雪が一面に広がっていて、私が初めて青森に訪れた時のことを思い起こさせた。

例年なら新幹線の改札前で、満面の笑みでお父さんが迎えてくれていたけど、今回は三沢空港での再会だった。2年ぶりで、少し照れ臭そうに理子は挨拶をし、玲はママの後ろに隠れていた。

車に乗り込み、青森でも数年振りという豪雪の中を行く。見渡す限りの銀世界。なにもかもを覆い尽くしていて、見えるものは森の濃い緑ばかり。それ以外なにも見えない景色なのに不思議と心が躍った。

途中、食事をとることにした。回っているけどレーンには寿司はなく、全て注文制の回転寿司だった。お腹いっぱいごちそうになった。

家に着いてお母さんと再会した。元気そうで何よりである。理子は庭に積もった雪に大興奮し、早く遊びたいと嬉しそうだった。

予め送っておいた雪遊び用の一式を着込む理子に対して、手袋はおろか上着すら着ないとごねる玲。軒下には屋根から雪が落ちてできたであろう天然の傾斜ができており、そこでそり遊びに興じた。うまく滑れなくてずっこけてしまうのすら面白い。寒いことも面白いといった感じで理子は楽しそうだった。でも一番楽しんでいたのは花さんだったに違いない。理子に混じってそりを楽しんでいた。


しばらく遊んでから室内に入ると、お父さんは豊盃酒という、木箱に入っていかにも高級そうな日本酒を出してくれた。すっかりタバコをやめたというお父さんと久方ぶりに乾杯した。

続いて出てくる毛蟹。貪り食うとはこういうことか、とその言葉を体現するように食べる食べる食べる。青森という場所で食べると尚美味しいといった味。東京の家で食べてもこのような食べ方にはならないと思う。

ハーフボトル?の酒は比較的早い速度でなくなって、贅沢ないつもの田酒をいただく。これは誰かからの頂き物とのことで、地方暮らしというのはこういったことなんだよなと羨ましく思う。

夕飯は花さんがすき焼きを用意してくれたものをいただいた。肉は、イオンなどのスーパーではなく、地元民が足を運ぶ肉専門店へと行って買ったものだった。


録画してあった紅白歌合戦の「残酷な天使のテーゼ」をなぜか繰り返し見る理子。しまいには口ずさんで歌っていて面白かった。

私は早々に風呂に入ることを諦め、ただただ酒をくらって土曜日が終わった。


夜中、ザッザッザッと雪を踏むような音がして薄気味悪かったのだけど、翌日花さんに聞いたら屋根から雪が落ちた音じゃないかとのことだった。


日曜日。午前中は引き続き雪遊びをすることにしたが、雨が雪に変わり、また晴れたりして安定しない天気だった。

それでもお構いなしで、理子はかまくらを作ることに挑戦していた。私は裏庭のほうにまわって、探検することにした。

雪が何十センチと積もっていて、どこに側溝があるのかもわからないような状態で、恐る恐る歩みを進める。

いつ見ても、ここからの景色は広大すぎる。雪があると奥行きが不確かになって、どこまでもこの世界が続いているような気すら起きてくる。

ふと足元をみると細かな歩幅で小さな足跡があった。鳥が歩いたようないかにも3つ股のものではなく、獣といった風のそれに少し背筋が凍ってしまった。そそくさと家の方に戻る。

玄関脇に積もったところを掘って、理子はいい感じのくぼみを作っていた。もう少しでかまくらと呼べるものができそうだった。


しばらくすると、雪遊びを一区切りさせて、またお出かけすることになった。地元民が集結するイオンモールである。

そこのフードコートで食事をする。理子はここへきてまでもマクドナルドを食べ、私は初めてペッパーランチというヤンチャな食べ物をチョイスした。

お父さんは早々に食べ終わって、ひとり時間を満喫しているようだった。私たちは食べ終わると子供たちのご機嫌とりタイムとなり、ゲームセンターへと向かった。理子は30分500円のアスレチック。玲はアンパンマンやトーマスの乗り物に興じている。

お父さんとの待ち合わせの時間までがっつりと遊んだ。

店内では、通り過ぎる人のなかで成人式帰りであろう集団がいた。なんでここにいるんだろうね?と花さんにふってみると、他にいくところがないからだろうとのことだった。


イオンを出ると、白鳥の飛来地へと向かった。以前もここに来たことがあったのだけど、玲は当然初見である。白鳥とともにかもめもたくさん群れていた。近くの小屋でえさが100円で売っていたのでそれを買い、餌やりをすることにした。

玲はかたくなに拒否したけれど、理子は率先して楽しんでいた。意外にもお父さんも参加していた。餌を放ると、かもめの方が小回りが効くようでうまく餌にありついていた。白鳥は長すぎる首をうまく使えずクネクネして食べれないようだった。

水辺ということもありかなり冷えるのだけど、玲はやっぱり上着を着てくれない。氷のように冷たくなった手を握って少しでも温めることにつとめた。

ふと遠くを見ると、ここにも成人式帰りのカップルがいた。イオンよりは少しロマンチックだけど、きっと足の消毒はしていかないだろう。


飛来地を後にし、温泉へと向かった。そこはいつもお正月に行くところで、りんご風呂に入ることができる。

お父さんとシャンプーをシェアさせてもらい、入る。こんな時期ではあるけど結構混んでいる。室内に露天、電気にジェットと一通り楽しんでいると待ち合わせの時間となった。前よりも長く入っていることが苦にならなくなったような気がする。

風呂から出ると当然のようにコーヒー牛乳を飲む。うまい。すごくうまい。理子と玲の面倒を見ながら入らなくてはならない花さんは疲れがあまり取れていない様子で出てきた。来年はもっと楽になるだろうか。


外に出ると雪がまた強く降っていいた。



家に着くと昨日の続きの田酒をいただく。そして毛蟹、ほたて、いくらと海産物のオンパレード。お父さんと酒を飲み交わす。

もうお風呂に入ってあるから、だいぶぐいぐいと飲むことができた。

最終的には花さんも飲んで、一升瓶を空けていた。理子と玲は、廊下でお母さんとボーリングをして楽しんでいた。ずっと花さんに隠れていた玲だったのだけど、これを境に仲良くなっていた。仲良くなった頃に帰らなくてはならないのだけれど。


一番奥の部屋に立派なピアノがあって、理子がそれで「喜びの歌」を弾いていた。お父さんは「ベートーベンだね」と嬉しそうにピアノを聴いていた。

部屋の奥の方から聴こえる誰かが弾くピアノ。それを聴きながらゆったりとした時間を過ごすというのは一つの幸せの形と言っていいと思う。


月曜日、祝日。

目を覚まし、ご当地パンのイギリストーストを食べる。それからまた雪遊びをする。青空が広がるいい天気だった。

理子は昨日の続きで、かまくらづくりに勤しんでいる。昨夜に雪がまた屋根から落ちてきて、大量の雪がある。材料はばっちりである。

しばらく掘り続けると理子がすっぽり収まるくらいの大きさの穴があいた。理子はすっかりご満悦の様子だ。

『青森に行ったら、雪合戦して、そり遊びして、かまくら作るんだ』と理子は言っていたのだけど、全てを叶えることができた。

花さんは、ふわふわの雪にダイブして、雪を青森を満喫し、玲は上着も着ないで早く家に入りたそうにしている。それぞれである。


お昼ご飯を食べるとあっという間の滞在が終わる。せっかく慣れてきた玲ではあるのだけど、次来るときはもっと愉しめるだろうと思う。

お母さんとお別れをし、お父さんに三沢空港まで送ってもらう。空港の脇にある航空公園で雪に埋れた遊具で遊んでから帰った。

次会うときはマスクなしで会いたいものである。

2022年1月7日金曜日

花ブック

 年に一度、花さんの誕生日にプレゼントするというていで始まった花ブックも、13冊目となった。もはや名前は形骸化していて、中身はほぼ理子と玲の写真で埋め尽くされている。

しかし13冊並んでいるところを見ると、よく作ったものだなと思う。

結婚して以降、旅が生活に入り込んでからは写真の撮れ高もあるし、子供が生まれてからは言うまでもない。夫婦だけの関係性では見た目で大きく変わることはないのだけど、子供の1年での変化は凄まじい。作っていて楽しいから続くんだと思う。

明日からの3連休では久方ぶりの青森へと出かける。いい手土産ができたなと思う。

2022年1月6日木曜日

 雪が降るらしいということを、昨夜、花さんが言った。布団に潜り込むとき、すでに寒かったが、理子が私の布団に潜り込んできていて温かい。いつもならしばらくすると布団から抜け出して、定位置であるママの布団へと行くのだけど、昨日は私の布団に止まったままだった。

そして夜中私の腹を蹴り上げる。寝相の悪さというよりは防衛本能のようである。足先に触れるものはとにかく押して、かかとで蹴り上げる。こちらは熟睡の真っ只中で防御機能は皆無であり、猛烈に痛くて目が覚めるが、理子は寝続けていた。喜逸の仲間かなんかで、呼吸の使い手なんだろう。


朝、やっぱり寒い。ガスストーブのパワーをマックスにして、早朝から仕事する。もはやそうしないことには終わらないのである。

しばらくして花さんが起き、玲が起き、最後に理子が起きた。

食事をし、洗濯物を畳み、風呂掃除をし掃除機をかける。木曜日は枕カバーも洗うと決めているため、それらを枕からひっぺがして洗濯機に突っ込み、パジャマとバスタオルとともに洗濯乾燥する。

まず理子が家を出た。「今日は雪が降るらしいよ」と伝えると嬉しそうに「長靴のほうがいいかな?」と言う。でも降らないかもしれないし、公園にいったときに遊びづらいからスニーカーにしたら、というと素直に従って家を出て行った。

保育園に行きたくない玲を花さんがなんとか連れ出して行って、家は静寂に包まれ私はYouTubeで芸人のラジオを聴きながら仕事をする。


しばらくすると雪が降り始め、そのことを花さんにLINEした。彼女は雪国育ちだから嬉しいんじゃないかしら。

雪も降っていることだし、家で昼ごはんを食べ、黙々と仕事をする。


時々窓の外を見ると、世界は白に包まれていた。雪が風に流されている。大きなワタのようだ。


夕方になり、花さんが理子を連れて帰ってきた。ものすごく寒いのに二人ともやっぱり嬉しそうだった。食事のあと、二人は雪遊びをしに外に出かけて行った。帰ってきた時もものすごくホクホクした顔だった。

玲は行きたくない!と言って家にいた。

私はまだ仕事が終わらずにいる。

2022年1月5日水曜日

フォいくえん

 玲がパパと保育園に行かなくなって久しい。いつからかすっかり「ママがいい」子になってしまい、断固パパ拒否の日々なのであったが、今日仕事始めの花さんは出社ということもあり、久方ぶりに私が玲を保育園に連れて行った。

いつのまにか家を出て行った理子と花さん。家にはYouTube漬けの玲と私が残っていた。『保育園に行くよ』と呼びかけるとヤダと即答する玲。たったの2文字なのに明解な答えである。

そこで私は、昨日アンパンマンニュージアムで買ってきたネイルシールを貼ろうと玲に提案した。喜ぶ玲、順調である。そしてどれを貼るかを選ばせる。ここも重要である。意識が『ほいくえんヤダ」から遠ざかっていくのが分かる。

そしてスムーズに靴下を履かせることに成功する。よしよし。

上着を着させようとすると、「どこにいくの?」との問いに「友達に会いに行くよ」とオブラートに包んで答える私。

間違ってはない答えにしぶしぶといった感じでついてくる。靴を履き、外に出る。冷たい風が強く吹いていて、ドアが少し押し戻される。やれやれ、まるで出かけるなと言っているようだ。

それでもそんな強風に負けずに家を出る。マンションを出て坂を下っていく。ここまで来ればこちらのものだ。

「どこにともだちにあいにいくの?」と質問する玲に「フォいくえんだよ」と突破ファイルの松蔭寺パイセンよろしく答える私。ここまで来ても尚濁す私に玲は答える。「ヤダ」と。

仕方なく抱きかかえて保育園まで行く。なじみのキャンディーショップのウィンドウディスプレイはクリスマスから正月へとシフトチェンジしており飴細工の虎が待ち構えていた。


結局保育園について、部屋に入るまでずっと抱っこしていた。なんなら上着を着させたまま先生にバトンタッチした。「大丈夫ですよ」の先生の声が優しくリフレインする。

下駄箱に入れられなかった玲のニューバランスの靴と、私のニューバランスの靴が仲悪そうに転がっていて、そっとそれを仕舞った。


家に着くと早々に仕事を開始する。まれに見る進行の遅さであるが、実に年始な感じである。明日も早朝から対応することになる。がんばろう。


2022年1月4日火曜日

仕事はじめ

 仕事が始まった、と言っても自宅勤務である。なんとなくzoomのモニターをオンにし、自分の顔が映っているのを見ながら上長の話を聞く。

YouTubeでナイツを聞きながら仕事をする。肝心な仕事が入らないまま、別の対応をして一日が終わる。


花理子玲は、横浜のアンパンマンミュージアムへ出かけていった。以前友達のパパからもらったチケットを使って、ロープウェイに乗ったようだった。

帰りは、玲が寝た状態で帰ってきた。

明日から保育園に行けるのかしら。


初めてふるさと納税をし、書類を作成した。

少し大人になったようだった。

2022年1月3日月曜日

新しい一年の始まり。

 2022年は沼津で迎えることができた。2年分の成長を遂げた姪っ子たちに会うのはとても嬉しいことだった。コロナでの2年は今まで以上に動画での通話をして、会えない空白を補っていたような気がする。

よく晴れた元旦。混んだ浅間神社。賽銭を投げ入れた花さんは、後ろから投げた人の小銭が当たっていた。是非運気も上がって欲しい。

1月2日。どれだけ長く滞在したとしても満足しない帰省を終えて東京に戻った。

1月3日。桜新町にある行ったことのない公園へ足を運ぶ。理子は最初、雲梯を怖がっていたのだけど、そのうちスルスルと猿のように器用に往復することができていた。玲は相変わらずママから離れない。


昼食はいつかの正月にも来た『わいがや』というパスタの店で済ませた。玲は一人前のキッズセットをぺろりと食べていた。また一人でも来ようと思う。美味しかった。

その後、混んでいた桜神宮を諦めて、用賀神社へ。家族の健康を祈願する。

そのまま2丁目公園で遊ぶ。公園で遊ぶのは玲には丁度いいけれど、理子はいつまで付いてきてくれるだろう?すっかり実家でハマってしまったニンテンドースイッチの影が頭をちらついてしまうが、理子は高く高く漕ぐブランコを楽しんでいた。

夕飯の後、今年の目標を立てようということでそれぞれ4人が紙に書き起こした。

そのうちの一つがこの日記である。少しでも多く続けられるようにしたいものである。

明日から仕事が始まる。