金曜、一人でバーで飲んでいるとhanaさんから連絡があった。誘ってみたら来るというのでビールを飲みながら長島有を読み、待った。しばらくすると小雨が降るなか彼女はやってきた。そのとき僕は林家ぺーの姿を認めた。本当に彼の身につけるものはピンク色なのだ。
しばらく二人で飲んでいると、知人が少しテンション高めでやってきて、我々は帰るタイミングを失いつつあった。でも楽しかった。
翌日、上島珈琲で軽食を済ませ原美術館へと行った。僕が原美術館に行く時は必ずと言っていいほどに雨が降る。ご他聞に漏れずその日も雨が地面を濡らしていた。品川乗り換えて北品川駅を下車する。品川女子校を脇に見ながら原美術館を目指した。展示されていたのはヤンフードンの映像だったが、内容がまったく頭に入らずただ頭を抱えるのみだった。時同じくして中学生の団体が見学に来ていて「渋い選択をする学校だな」と思った。
六本木でもうひとつ見たい展示があったけれど、休日に休館するという西欧人のようなギャラリーだったため、しかたがなくミッドタウンをぶらついた。しかしその結果面白いものに巡り会った。ワーゲンがキャンペーンに合わせてスケートリンクを設置していたのだ。僕たちは最初それを見ているだけだったのだけど、これを逃したら一生スケートをやらないかもしれない、という意見で一致して1500円を払ってやってみることにした。果たして、青森出身の彼女はスケートをしたことがなく、僕自身も15年以上氷上を滑った事が無かった。
小さな子供がカラフルなダウンジャケットを着て転んでいる。大人もスーツで転ぶし、カップルは手をつないで転んでいた。僕もおっかなびっくり滑っていたけれどなかなかに楽しいもので童心にかえってリンクを何周も回っていた。夏場のプールのごとく人が集まっていて、快適に滑れたかといえば、まったく逆なのだけれど楽しかった。吐く息は白くとも体は温かかった。
そこを出ると家に帰りハヤシライスを作って食べた。hanaはスケートで尻餅をつきすぎてベッドから動けないでいた。
日曜日。僕の家にはないテレビを見ていると、津波のニュースがやっていた。ご飯を食べながらそれを見ていた。そのうち雲が一面に広がっていた空から太陽の光が漏れだして外出する気力が出て来た。支度をして家を出た。新宿伊勢丹に向かうと人でごった返しており、それは日本人ではなく、中国人や韓国人などだった。ある店のカウンターに置かれた電卓には39万1500円という表示がされていた。おそるべし伊勢丹である。
僕は女性の服を見る方が好きである。なぜならそこには現実味がないからである。単純にかわいいとか恰好いいという目で見るからだ。逆にメンズを見ると実際に自分が着るという当たり前の見方をするし、Tシャツに2万?無理無理と首を横にふる事になる。
そもそもなぜ伊勢丹に行ったのかと言えば名刺入れを探すためであった。20歳から働いているのに一度も名刺を必要とした機会がなかったが、初めて会社員になったので名刺入れは必要であろうという結論に至ったのであった。あれこれ吟味した結果コズミックワンダーの名刺入れが比較的安くてシンプルだったのでそれを購入した。
その後、バーニーズなどを冷やかしていると友人から電話があって近くにいる事が分かり、合流する事にした。4人となった我々の選択肢は比較的一つに絞られていて、また18時ということもあり、立ち飲み屋に行って酒を飲むことにした。妄想はどこまでも肥大して、どこまでも詩を紡いだ。どうやら僕の緊張感というのは伝染するらしかった。
店員のかなり積極的な接客のもと何杯か飲み続けた。そして帰った。
明日から第二のステップを刻む。「踊り続けるんだよ」羊男がどこかでつぶやいた。
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