2009年10月8日木曜日

oneday

僕がその店のドアを開けたとき
席の大半が埋まっていた

レジにも数人の客が並んでいて
店員が忙しなく注文を受けていた

レジに立っていたのは
控えめに言っても、かなりかわいい女の子だった
おそらく大学生でアルバイトなのだろうと思う

僕の番になり、
茄子とベーコンのパスタを注文した

「お飲物はいかがですか?セットにしますと
サラダもついてお得です」
店員のかわいい女の子は控えめに、
しかし確実に注文をとる声で言った

「いや、いいです」
僕は言う
そんなことに惑わされてはいけないのだ

空いてるテーブル席が無かったために
レジの横にあるカウンターの席に座る事になった
そして、料理が出てくるまで
「パン屋再襲撃」を読む事にした


iPodは使っていなかった
レジでの受け答えの声がずっと聞こえた

「◯◯をお願いします」
汗の張り付いたシャツを着たサラリーマンのおじさんが言う

「お飲物はいかがですか?セットにしますと
サラダがついてお得です」
甘い声が仕事に疲れたおじさんを襲う、いや、癒す

おじさんは
「お願いします」と
若干上ずった声で返事をしていた


その後、ずっとそれが繰り返されていた
ものの見事に、おじさんたちはサラダのセットを注文し
1000円近くをランチ代に払っていた
これで恐らく、本日の煙草代は消えただろう

僕はそんなおじさんたちを横目に、
パスタを平らげ、
水を飲んだ

そして思う
あぁコーヒーが飲みたい、と
最初からおじさんたちと同じようにセットにして
女の子の営業的スマイルを受け取り
アイスコーヒーを頼めば良かったのだ
そしてサラダも食べ、栄養バランスを
整えて食事をするべきだったのだ
店員の女の子はきっとそこまで考えて
セットを勧めていたのだ
おそらく きっと そうだろう

隣にあるレジを見てみる
しかしそこには違う女の子が立っていた

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