2013年10月3日木曜日
青森
とある土曜日の早朝、僕とHANAは新幹線に乗って青森へと向かった。
前日の仕事は23時頃には終わり、比較的健全に家に帰った。
家に帰ったら3泊4日の旅路の支度をしようと思っていたのだけれど、
なぜか手を付けられずにいて、最近はまっているテレビドラマを
ネットの動画配信サービスで見ながら、倍返しだなどと息巻いていたら
いつの間にか、朝になっていた。
結局、出発時刻の15分前に支度を終わらせて家を出た。
電車は土曜日だというのに高校生であふれていた。
彼らは熱心に参考書を読んでいたり、友達と屈託のない笑顔で話をしていた。
そんな彼らは、僕らが向かっていた大井町駅に着く間にいなくなっていった。
大井町から東京駅へ向かう。
電車内は、旅行バッグを持った人たちであふれていた。
言わずもがな東京駅の土産コーナー、駅弁コーナーは殺気立ってすらいた。
そんな姿は買い物をする意欲を半減させたが
僕はその辺にあった比較的空いている店で弁当を買った。
改札を抜けて東北新幹線のホームへと行き、売店でビールを買った。
新幹線は定刻通りホームへと到着し、
僕たちは指定された席に座るとビールで乾杯した。
僕は駅弁を食べ、ビールを飲み、ドラマの原作本などを読みふけっていた。
不思議と新幹線の中でも寝ることはなかった。
数年前まで、東京からHANAの実家に行くまでには、
電車を乗り継ぐ回数が多く、大変だったらしいのだけど、
新幹線が開通した今、家の最寄りに駅ができて交通事情は一変したとのことだった。
目的の駅に着くと、改札の向こうにお義父さんの姿があった。
迎えにきてくれていたのだ。
挨拶もそこそこに車に乗り込むと、家へと向かった。
これまで、冬の青森にしか来たことがなかったので、
夏の青森の姿に驚いた。
一面雪景色で、植物の姿などまるでないように見えていた世界は、
青々とした森林に囲まれていて、空気はとても澄んでいた。
青森という地名、そのものである。
家に到着すると、お義父さんの兄妹が揃っていた。
結婚式以来の再会である。
矢継ぎ早に交わされる挨拶。
昼食を用意してくれていて、それを食べ終えた頃にはビールも出てきた。
僕は嫁の実家にいることを自覚しながら
ビールを1本、2本と空けていくのであった。
お義父さんの兄妹たちはお酒が好きとのことで
それぞれの家にお邪魔した際に、とてもおいしい日本酒を飲ませてくれたことがあった。
今回は親戚が一堂に会すので、お酒を一緒に飲むことを楽しみにしていたのだけれど
タイミングが合わず、結局一緒に飲むことはできなかった。
それぞれが家に帰る前に、七戸で有名なジェラートを食べに行こう
ということになり、ナミキという店へと向かった。
木々に囲まれた一本道を進んでいくとその店はあった。
とても開放感のある場所で、景色は美しく、またジェラートも格別だった。
店にはひっきりなしに人が訪れており、人気の高さが伺えた。
そこでみんなとお別れした。
僕たちは、家から比較的近い位置にある大型スーパーへと向かった。
カメラのフィルムを切らしていたために、カメラ屋でフィルムを4本買った。
早速カメラにフィルムをセットすると、
グルスキーの99セントショップの写真を真似て、店内を試し撮りした。
さっきまでいた木々に囲まれた一本道を、写真におさめたかったな、と
悔しく思っても空しいだけであった。
夕飯の買い物を一通り済ませ家に帰ると、
お義母さんは畑で枝豆を収穫していた。
冬には窺い知ることのできなかったハッピーガーデンである。
僕の背丈以上の高さのあるひまわり。
暑さの中にも秋の訪れを感じさせるトンボが飛び交う。
道に沿って植物が大きな花を咲かせている。
たくさんの種類の植物があり、一つ一つを説明してくれた。
この頃ようやく、僕にも睡魔が襲ってきた。
大きなハンマーを持った猿が僕の頭を打ち付けたような睡魔だ。
HANAは、お義母さんと枝豆の収穫を続けていて、
大きな笑い声をあげていた。
僕は朦朧としながら、用意してくれていた布団につっぷすと
彼女たちの無邪気な笑い声を聞きながら眠りについた。
夕飯の時間まで目を覚ますことはなかった。
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