朝はだいたい5時くらいに目が覚める。眠るのが22時くらいだから自然と目が覚めるのがその時間というのはもはや必然だと思う。
トップギヤのまま眠りに入る子供たちとそれに付き合う親。ドタバタで1日が終わり、自分だけの時間はないに等しい。それを唯一享受できるのは早朝と、二人の子供を送り出した後、(といっても玲は必ず花さんが送りに行ってくれるのだけど)始業までの1時間ほどである。
ここのところ、朝風呂は花さんとの争奪戦だ。早朝起床が日常になってしまった花さんとともに静かな攻防が繰り広げられる。しかし今日はふと散歩を再開してみようかなと思った。
目を覚ましたのは4時55分のことだった。寝るときは私から遠くにいた玲がなぜか私の腕の中にいた。そして理子の足は私の顔付近にある。
カーテンの真下から隙間を覗き見るともうだいぶ外は明るいことがわかる。のっそりと布団から出る。ハーフパンツとロンTという格好のまま靴下と帽子だけ身につけた。イヤホンを耳につけ玄関を開けてそっと出て行った。もう完全な朝だ。外には歩いている人が数人いるだけである。マスクは顎の位置までずらして砧公園まで歩いていく。
公園に着くと、走っている人たちがいるし、老人はラジオカセットをセットして太極拳の準備をしている。
私はサイクリングコースをただただ歩いていく。贅沢な時間である。イヤホンをしていても鳥の鳴き声や木々の揺らめく音がかすかに聴こえる。
私の脇を色々な走り方でランナーが抜き去っていく。様々な服装、スタイルである。
私は長距離を走るのが嫌いだ。以前駒沢に住んでいる時はまだ子供もいなかったので、夜中に夫婦で駒沢公園を走ることもあった。とはいえ私は最終的に花さんと大きく差をつけてようやく1周したものだった。それ以降ランニングというのをした記憶がない。
30分ほどかけてサイクリングコースを1周した。老人たちは人数が揃ったのか、音楽、というかお経のようなものに合わせて太極拳に勤しんでいた。私は家に帰った。
トイレに入ると寝室から勢いよく誰かが飛び出して行ったようだ。まずリビングへ行ってから風呂場のドアを開ける音がした。「おかしいなあ」という表情が目に浮かんだ。いい線いってるけど私はそこじゃないのよ、と思わず笑ってしまった。
トイレから出ると「パパー!」と玲が笑顔で抱きしめてくれた。金曜日が本格的に始まろうとしていた。
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