土曜。
午前中から呼び鈴が鳴る。
僕がベッドから這い出ようとすると、それを制止してhanaが颯爽とベッドから飛び出した。
しばらくして寝室に戻ってきたが、その手にはmission work shopのリュックサックがあった。
「ハッピーバースデー」
それは僕に手渡された。
僕の誕生日はバレンタインデーであるから、2週間越しの誕生日プレゼントだった。
誕生日の前に、何が欲しいかと聞かれ、「あなたといる時間が欲しい」などと
臭い台詞を吐いた後に、実際的な話としてリュックサックが欲しいとリクエストしたのだった。
どんなものが欲しいのかという話をした際にさらっと言っていたものを
見事に購入してくれていた。
ただし、海外のブランドで、国内での取り扱いが限られているので取り寄せに時間がかかったようだった。
僕もベッドを出て、それを背負いニンマリとした。
「ありがとう」
低血圧で寝起きは機能しない僕であるけれど、元気のよい声でお礼を言った。
14時から友人と出かける予定があったhanaに合わせて、僕も家を出た。
日差しが暖かく、どこか春の匂いを感じさせた。
渋谷で別れると、僕は久々に一人で街を徘徊した。
基本的に移動手段として徒歩か自転車を選ぶ僕であるので、
渋谷から原宿方面へと歩いた。
古着屋を見たり、インテリアショップに入った。
昼食を食べていなかったので、ラーメン屋へ入り、食べた。
ラフォーレ前の交差点にあるシカゴでプレーンなセーター、チェックのシャツ、
迷彩柄のシャツを試着した。
どれもこれも怒り肩の僕には似合わなかったが、迷彩柄のものだけは許容範囲で
1000円という値段にも惹かれ、それだけ購入した。
原宿駅まで歩いて行き、電車に乗って新宿へと向かった。
hanaと伊勢丹の前で待ち合わせ、バルト9へ行った。
映画『TED』を観るためだった。
ほぼ満員だった。
上映中、過剰な下ネタに反応する場内。
15歳以上閲覧不可の理由を知った。
映画館を出ると、外は暗く、昼間の暖かさは風とともに吹き飛んでいた。
マフラーを口元まで上げて足を速めた。
伊勢丹の地下でhanaはコスメを買い、
日曜日に会う友人の新居祝いにと、洒落たラベルのワインを買った。
家に帰ると、途中でスーパーに寄って夕飯の買い物をした。
味付けご飯と魚の煮付け、それとマカロニサラダが夕飯のメニューだ。
二人でキッチンに立ち、準備をした。
二人でテキパキと準備をするのは気持ちがいい。
ただの素材だったものが、調理され料理へと変貌していく。
テーブルに出来上がったものが並び、お茶を淹れた。
「いただきます」
「ごちそうさま」
洗い物をささっと済ませ、ラジオを聞きながら時間を過ごす。
そうして二人の一日が終わった。
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