2016年10月17日月曜日

PLAN C

僕の仕事はシフト制である。月火水働いて、木曜休んで、金土働いて、日休む。といった具合に不定期である。とはいえ、前職とは異なって、一ヶ月のスケジューリングは揺るぐことはないため、プライベートの予定を組むことは可能である。
「ディズニーランドに行こう」という誘いを、友人からもらったのは先月のことだった。
この友人は、花さんが妊娠中に、ヨガに通っていた際に知り合い、偶然にも職種が近しいこともあり、すぐに仲良くなった。また、出産予定日も近く、自然の流れで出産後にも交流が続き、今に至る。
旦那さんは、グラフィックデザイナーであり、趣味も似通っていて、仲良くさせていただいている。家も3駅程度しか離れていないので、偶然二子玉で会う、ということもある。貴重なご近所お友達一家なのである。
そんな友人の子供が最近ディズニーに興味をもったようで、ランドに連れて行ってあげたい、ということになったのだけど、週間天気予報によるとその日はどうやら雨が降るようだった。ここのところの東京は、ほぼ毎日のように雨が降っている。もしくは曇っている。そういったわけで、「雨だった場合のことも考えないといけないな」ということで、代案を考えることにした。プランBである。
室内で子供が遊べるところ、ということで真っ先に思いついたのは東京ドームシティのアソボーノである。ここは花さんと行ってみたいという話をしていたところだった。このことを友人に提案すると了承してもらえたので、雨が降らないことを願いつつも代案を用意したことで安心していた。

果たして今日は予報通りの雨であった。朝から割と強めの雨が窓を打ちつけているではないか。天気予報がこんなにも的中することがあるのだな、と思いつつも、思考はプランBに切り替わる。これは友人一家も同じで、東京ドームのある水道橋駅に行くまでの最短ルート、何時発の何車両目に乗るべきかも記されたメールが届いた。
そういったわけで、我々はその電車に乗るべく、支度を済ませ、雨の中余裕を持って向かうことができた。
ホームで電車を待っていると、反対車線の電車がホームに入ってきた。理子はその車両に向かって「バイバーイ」と言って手を振った。路線が多い大きめの駅だと大変である。電車が去ったと思ったら違う路線の電車がまた到着して、手を振り続けることになる。誇張ではなく、手を振り続けるため、ある程度のところで親が制止して抱き上げるしかない。

10時11分。予定通り渋谷方面の電車は到着する。一車両目の前から3番目のドアに友人たちの姿を認めた。ドアが開くと挨拶をする。この前会ったのは夏で、イチゴ狩りをした時だ。「おはよう」と友人の子供である杏ちゃんに挨拶をする。すごく目がキラキラしていてかわいらしい。雨合羽を着て、おばあちゃんが作ってくれたという帽子(!)を被っていた。
朝10時の電車は、まだ通勤時間であり車内は混んでいた。渋谷で人が減るかと思いきや、そんなことはなく、表参道で減るかと思いきや、むしろ増えた。結局のところ永田町で人々は降りていった。みんな働いているのである。

僕たちは一度電車を乗り換えて水道橋駅へと向かった。そして東京ドームシティに着いて、驚いた。アソボーノの入り口には長蛇の列ができていたのである。平日にも関わらずである。どこまで続いているのか、困惑しながら歩みを進めると、角を曲がってなお列は続いていた。並んでたら入れるといった人の量ではない。月曜日休みの人たちがこんなにいるなんて。。。

大人たちは冷静に考えた。プランCである。
この近くに子供たちが遊べる場所は?
大人四人はiPhoneのサファリを起動させ、「水道橋 子供 遊ぶ」とタップし、検索をはじめる。すると導き出されたプランCは「四谷3丁目 東京おもちゃ美術館」であった。花さんたち女性陣は行き先が決まるや否や、A.S.A.P、食事の場所を探し始める。食にこだわるマインドが素晴らしい。男どもにはないものを持っている。

電車に乗ってまた移動をする。その間、会っていなかった間に起きていたことを話しながら向かった。こういった時間が楽しい。ちょうどランチタイムで、駅ナカの飲食店が並ぶエリアからは香ばしい匂いが漂っていた。

目的の駅に到着すると、ホテルにあるビストロWという、ビュッフェの店に行く。パッと見、子供が騒いでいいような店構えには見えない、きちんとしたところだったのだけど、店員さんは快く我々を迎え入れてくれた。そしてテーブルには子供用の椅子がセットされ、食事メニューには、アンパンマンプレートがあるではないか。おもいっきり子供対応のできた場所だった。このことは周知されているようで、当然のことのように店内には同じように子供を連れた人たちが次から次へとやってきた。自分に子供ができると不思議なもので、子供の声がまったくうるさく聞こえない。どちらかと言えば「あぁ、この泣き方、懐かしい」と思うのであった。

めいめい、食べたいものを取り、理子の分もとり、食べさせる。ここのところスプーンの使い方が上手になってきて、こぼす量も少なくなってきた。毎日成長している。親たちはまた近況を話し合う。杏ちゃんは、理子と誕生日が近いこともあり、理子とほぼ同じようなタイムラインで成長しているようだった。できること、まだできないこと、興味あるもの好きなこと。人の成長って面白いものである。

食事を終えると、目的のおもちゃ美術館へと行く。ここは以前僕たちは訪れたことがあった。月齢に応じて遊べる場所が分かれていたため、以前よりも少しお姉さんの部屋も入ることができた。基本的には全てが木でできた遊具であり、おもちゃだった。角がとれたものだから安心して遊ぶことができる。木でできたにんじんや大根などの食べ物を、小さな鍋に入れ、おぼんにそれを乗せてこちらにやってきて、「ごはんどうぞ」と言って僕にくれた。大人たちは楽しそうに遊ぶ子供達を、細くなった目で見つめ、また写真に残そうと、カメラを向けるのであった。

しばらく遊んでいると、疲れたのか目をこする仕草をするようになった。そろそろお昼寝の時間だ。パパたちは各々抱っこ紐を装着し、抱っこする。そして退園した。理子は相当眠かったようで、歩いているとすぐに眠りについてしまった。
駅に着き、電車に乗って椅子に座ると、僕もその揺れが心地よく、うとうとと少し眠ってしまう。当日の天気なんてその時にならないと分からないし、子供がいると予定通りにいかないことだってある。だけど「こんな風に終わるプランCも悪くはない。」そんな風に思う。

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