そして今、hanaさんと同棲をしようという話になり、お互いの理想と現実を照らし合わせた結果に基づいて不動産屋にいくことになった。前もって問い合わせていた物件に、店員は見向きもせず違う物件をプッシュし始める。僕たちはなかなか首を縦にふることもなかったのだけど、ある物件に目を止めた。世田谷のとある場所、求めていた場所よりは少し離れてしまうけど、広さは申し分ない。もう一件よさそうな物件を選び、内見ができるというので実際にいくことにした。
北村一輝に似た店員の運転で狭い道を車でひた走る。思うのだけど、不動産屋の車の運転というのはスマートではない。ある種の強引さのもと運転している節がある。車で数分走ると目的の建物に着いた。3階建てで庭がある。ベランダの洗濯物がちらっと見えたのだけど、どうやら小さな子供たちもいるようだ。
早速部屋のなかに入る。大きな窓が3つあり、さんさんと太陽の光が降り注いでいる。3階とはいえ周りの建物が比較的低層なので抜け感がある。僕たちは心躍りながら無駄に戸を開けては締めて楽しんだ。「ここでいいんじゃないだろうか」そんな言葉が二人の頭上を行き交った。もう一件の物件も見に行くことにする。場所は渋谷寄り。女性限定だったが結婚を前提としているならば入居可能というものだった。建物は随所にクラシカルな装いを見せた。部屋の中に入ると度肝を抜かれた。大理石チックな玄関。ドアには薔薇のステンドグラス。使い勝手がいいのか悪いのかわからないシステム収納。「ここはないな」この言葉も二人の頭上を飛び交う。
一度不動産屋に戻り特に申し込みはせずその場を後にした。
翌日、中目黒の不動産屋に行った。人当たりの良さそうな店員でいろいろと見繕ってもらう。日曜日は管理会社が休みということが多いらしく、図面だけで気に入ったものが何件かあったのだけど問い合わせることができなかった。そんな中でも2件ピックアップし実際に内見に行くことになった。どちらの物件も、外観や雰囲気、所々のパーツが可愛いのだけど、どこか見劣りがしてしまう。「どう考えても一番最初に見たところがいいのではないだろうか」言葉は交わさなかったが僕たちはそのように考えていた。
不動産屋を後にして、近くにあったflamesでコーヒーを飲んだ。そして話し合った結果やはり「どう考えても一番最初に見たところがいいだろう」と口に出して言った。もう一度周辺環境を見に行こうということになり、散策をした。大きな通りにはスーパーがあり、食べ物屋もたくさんあった。物件は大きな通りから少し小道を入ったところにあるので静かだった。
不動産屋に連絡し申し込みの手続きをした。おそらく決まり文句であろう「さきほどもお客様をご案内しまして」と言われた。どちらにしても僕たちはその部屋に決めたのだ。
具体的にいつ入居になるのかというのは審査が通ってからになるが、これから新生活が始まる。それまでにいらないものを処分し、身軽にして臨むことになる。
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