2022年4月25日月曜日

Chikashi Suzuki 「体(たい)と用(ゆう)」

昨日の日曜日、お一人様時間を頂戴した。目的はたったの1箇所で、最寄駅でいえば代田橋にある本屋だ。そこで鈴木親さんの展示があるというのをインスタで見かけたのでこれは是が非でも行かねばなるまいと思ったわけである。そしてこの日が展示の最終日だった。

思い返してみると、thumb Mでご本人に会う前から親さんの写真が好きだった。nadiffで行われた展示(CITE)が初めてで、その後は仕事で関わらせていただくとは思いもしなかった。初対面は「うわ、本物だ!」と思ったものである。

免許取立てのタイミングで、山梨のトラックギャラリーにも行ったし、コウサクカネチカでの展示も行った。なかなかの回数だ。

というわけで、規模感などは特に関係なく、脊髄反射的に足を運ぶことにした。渋谷から井の頭線に乗り換えて、明大前で降りる。その後Google マップが示すように1.6キロを傘をさして歩いた。親さんの写真には日本の湿度を感じるから丁度いい導入になるのかもしれない。


本屋は、小さな沖縄タウンを通り過ぎたところにあり、地面に置かれた控えめな「flotsam books」の看板が目印だった。店内はその広さに比べると客が多かった。

不思議な店である。展示をしているからというのを差し置いても、この店には訪れる客は、本を求めるというよりもその他の何かが欲しくて出向いている、という雰囲気があった。

展示の内容に時系列はなく、フィルムで撮られたサービス版の写真たちだった。そこには生きている林さんがいて、若き日のハーモニーコリンがいたりティルマンスもいた。個人的に大好きな写真である、新宿御苑で撮られた菊池凛子や、街景もあった。

大きな写真に焼かれて少し距離を持って見るギャラリーでのそれとは異なる。サービス版の大きさだから、すごく顔を近づけて見ていた。


店主に顔なじみの客というのが来店するといろいろな話をしていた。そしての内容はその店に訪れているみんなが聞き耳を立てているようにも感じた。おそらく憧れの人、憧れの世界をその会話の中に感じていたんじゃないだろうかと思う。そしてそういった刺激のようなものを求めて来店しているのではないだろうか。当然ネット通販もこの店では行われているから、リアルな刺激を店で感じたいのであろう。

なかには、libertine duneの話をしている人がいて、僕がお世話になっていた人たちがそこから去ったということを聞いた。新刊が出ないから何かあったんだろうとは思っていたけど、そういったものを人伝に聞くのは不思議だ。

店に置かれたリベルタンのページをめくりながら、徹夜して作ってたな、と思い返した。


店内をくまなく見終えると、店を後にした。

まだ雨は降り続いていた。

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