実はこの8月の終わりに引っ越しをすることになっている。
今年に入った頃から家を買うというミッションに向けて密かに実行していたのだ。
購入派、賃貸派の戦いというのは永遠に結論がでないそうである。
それはそうだ、お互いに歩み寄ることをするわけがないのだ。
だから購入するし、だから賃貸で居続ける。
僕たちは上野毛という町をとても気に入っている。
都会のエアーポケットのようなこの場所には、大きな幹線道路があっても少し道を入ると、イチゴを育てるビニールハウスもある。
田舎育ちの僕たちには落ち着く環境だった。
上野毛でも、もちろんマンションを探していたのだけど、
実は上野毛というのは高級住宅地であった。
都会のエアーポケットのようなこの場所をには、やはりお金を持った人たちが静かに暮らしているのだ。
序盤に案内をしてくれた不動産屋は言った。「見ても10件くらいにとどめた方がいいですよ。」
結果的にはそのようになった。
まだ人が居住中の家に内見に行った。
痴呆が始まってしまったがために、家族が家を売りに出そうとしていた。窓から桜が見え、建物の敷地内には文化財指定のお屋敷があるところだった。
申し込みをしたものの、結局そこは売りに出されることはなかった。
痴呆の人の財産を処分するのはとても時間がかかるし、結果的に手放せないことがあるということを学んだ。
80平米程の広さの家を内見した。
そこもまだおばあさんが居住していた。仏壇には旦那さんの写真が飾られていた。
日当りのよい部屋だったけれど、どこか陰を落としていた。
きれいな部屋だけど、くたびれている。
マンションが建った当初から住んでいるとのことだった。
30年以上の時間をその部屋で過ごし、泣き、笑い、最愛の人を看取った部屋。
90平米近くある部屋を内見した。
そこにはもう人は住んでいなかった。マンション建設当時から住んでいたということだったけれど、とてもきれいな部屋だった。
日当りもよく、窓を開けると気持ちよく風が抜けていった。
ここに住むことになるのかな
そんなことを思った家だった。
結果的にはそのようになった。
それからは事務手続きや、リフォーム会社との打ち合わせを重ねていった。
産休中の花さんにはとてもよく動いてもらった。
平日に手続きをしなくてはならないことというのが多かった。
とても感謝している。
そして、今月の終わりには引っ越しだ。
家は人生という映画を映し出す映画館のようなものだと思った。
なにがあっても光を投射して、ストーリーを紡ぐのだ。
映画の長さもそれぞれ。タイトルロールからエンドロールまで、人それぞれ。
これから住むその家に、その映画館に、いっぱいのお客さんを招き入れて、
ぜひ、エンドロールが流れるその時まで、
喜怒哀楽いっぱいのストーリーをお届けしたいものである。
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