2014年7月14日月曜日

聖誕祭

朝の8時前に目が覚める。

僕がきちんと覚醒する頃には、隣でHANAがiPhoneを見ている。
おはよう
僕は声をかける。
それからだらだらと、寝ぼけながら会話をして1時間ぐらい過ごすと
彼女は誰かに向かって「起きる!」と高らかに宣言しベッドからいなくなる。
その誰かは、まだベッドでのたうち回っている。

それから朝食を食べ、軽く片付けをして、
19時まで真っ白な予定帳を埋めるべく、作戦会議をする。
結果、14時10分から渋谷の映画館で上映の『her』を見ることにした。
監督はスパイクジョーンズ、主演はホアキンフェニックス。
彼の作品で最後に見たのは、宣伝物も担当した『容疑者ホアキンフェニックス』である。
普通に映画界にカムバックしている訳である。


13時頃になると、家を出る。
今住んでいるところに引っ越してからというものの
渋谷がとても苦手になっている我々なのであるけれど、
そういった状況でも、それをHANAは受け入れた上で最善を尽くすのである。
「このあたりで電車に乗って、この出口で降りれば
階段ではなくエスカレーターで地上まで出られるよ」
HANAは、さも新しいスーパーではスイカが100円安かったと言った具合に
なんでもないことなんだと、有益な情報を僕にもたらす。
僕はそれに従って、ドラゴンクエストのパーティよろしく後ろを歩いて地上に出る。
しかしながら、久々に歩く渋谷の街はとても疲れるものであった。

予定よりも早い時間ではあったのだけど、
さっさと映画館に入ることにした。

映画の具体的な内容は割愛するが、新鮮で、かつエロティックで
面白いものだった。
僕としては、ホアキンが着ているシャツに見惚れてしまっていた。
スパイクジョーンズが個人的に親交のあるバンドオブアウトサイダーズなのかしらん
と思ってみていたけど、ホアキンみたいに、がたいの良さそうな人は着られないだろうな、とも思った。

映画を見終わると、中目黒へと向かった。
いくつか店を回って、プレゼントを物色した。
人に物をあげるというのは知恵を絞らなくてはならない。
自分がもらって嬉しい物をあげる
というのを念頭に置いてはいるのだけど、人と、僕は違うのである。


再び渋谷へと戻る。
雑踏をかき分け、似たような顔、似たようなファッションをした若者たちをすり抜け
目的の店へとはいる。
とても静かな店内である。
名前を告げると個室へ通される。
果たして主役はもうそこにいた。

とりあえず乾杯をし、いくつか注文をする。
そして他愛もない話をする。
そのうちメンバーが揃い、宴が始まった。
穏やかで楽しい時間が繰り広げられる。

一通り食べた後、店員が誰も注文していないデザートを持ってくる。
ハッピーバースデー
今日は二人の誕生日祝いなのだ。

ろうそくにつけられた火に、夫婦揃って息を吹きかける
そして火が消える

おめでとう

おめでとう

末永い幸せを

今日はきみたちの聖誕祭
夫婦になって初めての誕生日を祝う

永遠に幸あれよ



店を出た後の渋谷の街も、やっぱり騒がしいものだったけれど
昼間よりは幾分マシに思えた日曜日の終わり。


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