金曜日の夕方、羽田発の飛行機に乗って沖縄へと向かった。僕は2回目の沖縄である。
花さんの旅テクの一つであるマイルの関係で往復のチケットが手に入るのだが、失効してしまうからということで1月の沖縄旅行、ということにあいなった。オフシーズンというものが沖縄にあるのかは知らないが、ホテルの予約などもスムーズに取れたようだ。
かかる費用は滞在費だけである。そうしてまた次の旅へつなげるためにマイルを貯めるのだ。
東京は当然のことながら真冬の気温だけど、沖縄は15−6度とのこと。沖縄にアウターを持って行く必要はないから羽田空港のコインロッカーに預けて身軽な状態にした。
沖縄への出発口ロビーでは、修学旅行帰りの沖縄の中高生が何組かいた。チケットがない!とのたまう男子を横目に我々は搭乗する。
どういうわけか離陸する直前に眠くなり、目が覚めると飛行機は雲の上で、ようやく飛行が安定したタイミング、というところで目が覚める。もう少し寝させてほしいものだけど、結果的には帰りの飛行機でも同じだった。
少し飛行機が揺れるタイミングがあったが、機内のアナウンスがすぐに流された。先日起きた悲しい航空機事故もあってか、「多少揺れるが運行上は全く問題ありません」と乗客への配慮だと思われた。
機内では、空港で買ったおにぎりを食べるが、玲はまだ寝ていた。僕は食べ終わると久々に村上春樹の本を読んだ。「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」である。
中毒性を持って20代の時は村上作品を読み耽っていたけれど、30歳も半ばを過ぎた頃からは長編を一度読んだら読み返すということはなくなっていた。だからインタビュー集とか短編くらいが今の僕にはちょうどいい。
着陸態勢に入る前に玲は目を覚ました。そして買っておいた鮭おにぎりをむさぼり食う。
腹が減っては沖縄の地を踏むことはできぬと言わんばかりである。
空港に到着したのは20時前だった。
ホテルに一度着いてからだと夕飯を食べに行くのが億劫になると思ったので、空港で食べることにした。選んだのは前回と同じ店だった。理子はタコライスにチャレンジすると言い、玲はお子様ソーキそば。僕は島豚丼とソーキそばのセット、あとはオリオンビールである。
しかしながら食べたことのないものにチャレンジした理子はタコライスの微妙な辛さを受け付けず、玲はそもそもお腹があまり減っておらずだった。
僕の島豚丼とタコライスをチェンジ。玲の分も僕が食べることにした。
満腹ではち切れそうになりながら店を後にした。そんなお腹いっぱいの中、コンビニで翌日の朝ごはんを買う。ホテルの近くにはそういうった店がなさそうだったから、という花さんからの提案であった。抜かりない。
空港の外に出ると、暑くも寒くもないという何とも言えない気温だった。
タクシーでホテルへと向かった。到着すると半袖のホテルマンたちが出迎えてくれた。花さんがチェックイン手続きをしてくれている間にその辺をうろうろしていると、ホテルの中にはセブンイレブンが鎮座しており、土産物屋もかなり広いスペースを割いていてた。もうちょっとした街じゃんと言ってみんなで笑った。
実質土曜日だけが観光できる日なので、早々に風呂に入って寝ることにした。
湯上がりに理子と話をすると、どうやら彼女はいま小説を書いているという。そして臨時的に持たせた回線の通っていないiPhoneに、なにやら文章をスケッチしているようだ。
「パパも今の理子ぐらいの時には漫画とか書いてたよ、ママやパパに見せる必要はないけどそうやって何かに残すのはいいことだよ」と伝えた。
そしてこの旅行中もその文章のスケッチを取っている様子なので「パパもこの旅のことを日記に書くことにするよ、それは理子に見せるね」と言った。
それがこの文章である。これを読んで彼女は何かを思うのだろうか。
『変わった父親を持ったものだ、やれやれ』とか思うのかもしれない。僕はそんなことを考えながらにやにやしながら眠りについた。
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