2021年6月15日火曜日

つないだ手

 朝、学校へ向かう道中。僕の左手にある細い骨もしくは腱を、理子はその小さな右手でコリコリと弄んでいる。むずがゆいからやめてくれというのだけど、本人は至って楽しそうにしている。手をつないで登校するようになってどれくらい経つのだろう。


入学して最初の1ヶ月くらいは、マンションを降りた坂まで理子を見送っていただけなのだけど、そのうちその距離がだんだんと伸びていって、いつのまにか学校の正門まで付き添っている。

4月以降ほぼ皆無となったズボンを履いての登校。スカートを履いていけるのが嬉しいらしく、僕はメルカリで3着ほどZARAのものを買い足した。


朝、大好きな男の子を見つけると、ランドセルをポンっと叩いてコミュニケーションを図る理子。そんな積極性を目の前で見るととても微笑ましい。「やってみないとわからないでしょー」が口癖の理子。

いつの日かつなぐ手が、僕ではなくその男の子になるといいなと思ったり、思わなかったりしながら、正門を抜けていく理子の後ろ姿をしばらく眺めていた。

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