その1
歩くと楽しいところに行けることを知ってしまった理子は、
何故か親の目の届かない部屋の死角での遊戯を楽しんでいる。
椅子やテーブルの上などにのぼり、ひやっとすることが多い。
怪我がないまま成長することなんてないぜベイビーって人は言うかもしれないけれど
その場面に直面している親にそんな言葉かけられるのかベイビー。
その2
本棚にある絵本を引っ張りだして読むでも見るでもなく、
ただただ本を出し入れしている。そしてそれが楽しいようである。
その3
誰に向かって言っているのか、「ばぁ!」と
「いないいない」の助走なしで「ばぁ!」と言う。
僕には見えないものが彼女には見えているようだ。
とりあえず僕は午前2時にでも望遠鏡を覗き込もう。
その4
歩くと楽しいところに行けることを知ってしまった理子は、
家の外はもっと楽しいと言うことも知ってしまったようだ。
我が家はマンションの3階でエレベーターは、ない。
家を出ると、一目散に階段に向かい、自力で降りようとする。
手を取ろうとすると振り払うほど自立心が強い娘である。
とはいえ、外出時すべて歩いて行動できる程には達者な訳ではないので
ベビーカー、抱っこひもをいつも持っていく。
マンションの1階に到着しても、いきなりベビーカーに乗せては行けない。
彼女はいま下界に降り立った喜びに満ちているので、
ベビーカーに乗って動きを制限されたくないのだ。
とりあえずマンションの外までは歩いて行かせることにする。
でも、かなりの確率で階段に戻って登ろうとする。
だから階段から離れたところまでは抱っこで移動させる。
なんとなくの誘導で外に歩いて出ることができて、
僕としてはそろそろベビーカーに乗せたいところである。
しかしながら体も温まってきて、これからだという理子は
ベビーカーに乗ることを拒絶する。
体をのけぞって座ることを拒否し、抱っこしようとする肩をすぼめてしまう。
彼女も自分の自由を守るために必死なのである。
そんなとき僕はポケットから鍵を差し出す。
「チャリンチャリン」
理子は僕の手からそれを奪い取ると、くわえたり手の中で遊んだりしている。
しめしめと僕と花さんはタッグを組んで
スムーズに理子をベビーカーへと収納することに成功するのであった。
いきなり本題に入ってはいけないよ、って理子さんから教えていただきました。
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