沼津から上京しているメンバーで飲み会をしよう、
と中学の同級生から連絡があった。
連絡をくれた人間からは、ちょっと想像ができないような
少しこじゃれた和風居酒屋を指定されていた。
土曜日だけれど出社すると言うHANAと家をでて、渋谷で別れた。
僕はなんとなく、SUPREMEに置かれていたリーボックの靴を
もう一度見に行こうと思い、お店へと行った。
するとセール中で、季節物の洋服が安く売られていた。
買うつもりのないチノパンツを試着し、購入した。
予定外の買い物をして、発した熱を下げるために
という訳でもないけれど原宿まで歩いた。
代々木体育館に近づくと、ピンク色のタオルを肩から下げ、
同色のTシャツを着た集団がいた。
コンサートが開かれる直前だったようだ。
まったくそのアーティストに興味はないけれど、
その集団の発する空気は面白く感じた。
好きな対象へ向かうエネルギーは、
人のどこかの部分を盲目にするような気がする。
僕はそんな集団を横目に原宿駅で山手線に乗って、
新宿へと向かった。
店の予約時間まで少し時間があったので、
近くのコーヒーショップに入った。
メニューを見てみると、なぜかレーベンブロイがあった。
僕は迷わずそれを注文すると、
喫煙所で煙草を吸いながらそれを飲んだ。
19時になる少し前に店を出て、飲み会が開かれる店へ行った。
店に入ると、既にメンバーは集まっていた。
1年ぶり、10年ぶり、久しぶりに会う友人たち。
10年ぶりであっても、ぽろっと当時呼んでいた名前が出てくるのも
不思議だ。
席に座って一通り挨拶を済ませると乾杯をした。
変わらないねー?
今何してるの?
高揚しているのはビールのせいだけではないだろう。
久しぶりに会う友人たちに囲まれるというだけで、
一気に過去へタイムスリップするのだけど、
お酒は飲んでいるし、煙草は吸っているし、子供がいる人もいる。
ごちゃまぜな感覚の中でグラスを重ねていった。
当時誰が好きだったの?
過去の話で罪のない話
今だから言える話
10年以上前に埋めた宝箱をあけるような
時間だけが作れる甘酸っぱくて、照れくさくて、
だけど純粋だった1999年の思い出。
10年以上前の話をしているのに、現在進行している時間はあっという間に過ぎていった。
あの頃の別れ際は「また遊ぼうね」と言っていたけれど、
今では「また飲もうね」に変わった。
そして僕の隣にはHANAがいた。
0 件のコメント:
コメントを投稿