2013年7月31日水曜日

同窓会

沼津から上京しているメンバーで飲み会をしよう、
と中学の同級生から連絡があった。
連絡をくれた人間からは、ちょっと想像ができないような
少しこじゃれた和風居酒屋を指定されていた。

土曜日だけれど出社すると言うHANAと家をでて、渋谷で別れた。
僕はなんとなく、SUPREMEに置かれていたリーボックの靴を
もう一度見に行こうと思い、お店へと行った。
するとセール中で、季節物の洋服が安く売られていた。
買うつもりのないチノパンツを試着し、購入した。

予定外の買い物をして、発した熱を下げるために
という訳でもないけれど原宿まで歩いた。
代々木体育館に近づくと、ピンク色のタオルを肩から下げ、
同色のTシャツを着た集団がいた。
コンサートが開かれる直前だったようだ。
まったくそのアーティストに興味はないけれど、
その集団の発する空気は面白く感じた。
好きな対象へ向かうエネルギーは、
人のどこかの部分を盲目にするような気がする。

僕はそんな集団を横目に原宿駅で山手線に乗って、
新宿へと向かった。


店の予約時間まで少し時間があったので、
近くのコーヒーショップに入った。
メニューを見てみると、なぜかレーベンブロイがあった。
僕は迷わずそれを注文すると、
喫煙所で煙草を吸いながらそれを飲んだ。

19時になる少し前に店を出て、飲み会が開かれる店へ行った。
店に入ると、既にメンバーは集まっていた。
1年ぶり、10年ぶり、久しぶりに会う友人たち。
10年ぶりであっても、ぽろっと当時呼んでいた名前が出てくるのも
不思議だ。

席に座って一通り挨拶を済ませると乾杯をした。

変わらないねー?
今何してるの?

高揚しているのはビールのせいだけではないだろう。
久しぶりに会う友人たちに囲まれるというだけで、
一気に過去へタイムスリップするのだけど、
お酒は飲んでいるし、煙草は吸っているし、子供がいる人もいる。
ごちゃまぜな感覚の中でグラスを重ねていった。

当時誰が好きだったの?

過去の話で罪のない話
今だから言える話

10年以上前に埋めた宝箱をあけるような
時間だけが作れる甘酸っぱくて、照れくさくて、
だけど純粋だった1999年の思い出。


10年以上前の話をしているのに、現在進行している時間はあっという間に過ぎていった。

あの頃の別れ際は「また遊ぼうね」と言っていたけれど、
今では「また飲もうね」に変わった。
そして僕の隣にはHANAがいた。

2013年7月17日水曜日

日曜日たち

一日の始まりは、登録していない携帯番号からの着信だった。
とは言うものの、心当たりはあった。
「もしもし」と、さも寝起きではないふうを装って電話にでる。
この日、かくかくしかじかで、家に取材に来る人たちがいた。
その担当ADからの電話だった。
「12時に伺います」という内容で、「分かりました」と返事をして電話を切った。

二人暮らしの部屋紹介。
人ごとのように見ていた雑誌の特集とかにある、それだったのだけど、
自分たちがそれに載ると言う。
取材を受ける前に、「なにも特別な収納術とかないんですけど…」などと言っていて
なにを見せればいいのか分からなかったが
実際に担当のかたと連絡を取り合っていても、どうしたらいいのか悶々としていた。


前夜、こそこそと部屋を整理し、こぎれいにし、
普段見えている物を見えないところへ押しやって掃除をしていたのだった。
その続きを、目を覚ましてからも行なった。
基本的に掃除が好きな私なので、なにも苦にはならないが
今回はもう少しそこから発展させて、見栄えをよくすることに重点を置いた。

かくして、12時に呼び鈴がなった。玄関をあけると初めて会う人がそこにはいた。
「今日はよろしくお願いします」
と言って中に迎え入れ、麦茶を出して、ソファへと促した。
客観的に自分たちのことを語るというのは、
どこか結婚式の準備をプランナーとしているときのような感覚だった。
「そもそも二人の出会いはですね…」

ふむ。


話も一段落したところで、実際に撮影が始まった。
自分たちのお気に入りの場所
言わずもがなソファだ。
自分たちのお気に入りの物
HANAは旅先で買ったもの、私は本棚か。

そういったところをシューティングしていく。
カメラマンによってトリミングされた私たちの部屋は
肉眼で見ているよりもなんだかいい雰囲気に見えた。
まるでマジックのようだ。

インテリアを特集する人たちが興味を持つものが不思議だった。
そして、少しセットアップするだけで、
いつもとは違った雰囲気を見せる部屋もなんだか面白かった。


いろいろと話をしながら撮影をしていたのだけど、
スタッフの人とは共通の知人がいて、
「世間は本当に狭いですね」などとお決まりの台詞を吐くのであった。

初対面であるはずなのに、最もプライベートである自宅に招き入れるということに
抵抗がなかったわけではないのだけれど、
スタッフの方とは和気あいあいと話が出来て楽しかった。

取材は2時間程度で終わった。


その後、HANAは休日出勤で、出かけて行った。


私は友人と飲むことになり、三茶へと行った。
髪を切ってきたという彼は、髪もさっぱりし、
めずらしく短パンを履いていて、実にさわやかだった。
久々にいそげんに行き、カウンターで乾杯した。
付き合いもそれなりに長い彼であるが、おそらく初めてサシで飲んだ。
二人だと話せることがある、というのも不思議なものである。
別に秘密を打ち明けるわけでもないのに、ぽろっとこぼれ落ちる。

しばらくすると、仕事を終えたHANAがやってきた。
我々はテーブル席へと移動した。
周りのテーブルには多種多様な人たちが飲んでいたのだけど、
隣のテーブルにはやけにファッショナブルな3人組がいた。
時折私たちが洋服の会話などをしていたのが聞こえたのかどうか知らないが、
一人の女の人が話しかけてきた。
「あなたイケメンだね」というようなことを友人に言っていた。
なんだ、これが逆ナンというやつか。
あまり具体的な言葉は聞き取れなかったのだけど、
要は友人の事がタイプであったらしい。

その後、ファッショナブルな男二人もこちらに加わり、一緒に飲む事になった。
どうやら3人ともそれぞれが某セレクトショップに勤めているらしかった。
一人は、マルジェラのシャツにドリスバンノッテンのネクタイ、と来たので
まさかパンツはアンドゥルメステールか?アントワープ6か?と聞いたのだけど
パンツはアクネで、ジョンスメドレーの薄手のニットを腰に巻き、
足下はオールデンで、眼鏡はクロムハーツというスタイルであった。

HANAはその彼のマルジェラのシャツのタグの仕付け糸?を伸ばして遊んでいて、
そんな無邪気な嫁の姿を肴に、私は日本酒に手を出していた。

限りなく酩酊していく意識の中で、
友人は、その女性から自分の店で働いてくれないかと勧誘されているのを見て、
HANAは眠りの勧誘に負け、壁にもたれかかってるのを見た。

久々に、三茶で飲んでるなぁと実感する夜であった。

2013年7月2日火曜日

BIRTHDAY GIRL



金曜日、仕事が終わったのは夜中の3時頃だった。
それから、夜中まで開店している量販店に自転車で行き、
パーティグッズを探しまわった。
土曜日に我が家で行われる友人の誕生日会の準備である。

所狭しと商品が並んでいる上に、
夜中で頭がぼーっとしているせいもあって、僕が求めるものがなかなか見当たらない。
一階と二階をふらふらと回る。
下手したら万引き犯と思われそうであった。
もはや欲しいものが見当たらない、なんとかこれで代用しようかと思い、
訳の分からないものを手に取った物の、
もう一度だけ探してみようと奮起したところ、
案外あっさりと見つかった。単に見落としていただけだ。

レジで会計を済ませた頃には4時になっていた。
近くのラーメン屋で夕飯を取った。
まだ金曜日の夕飯を取っていなかったのだ。

家に帰る頃には5時近く。
鳥がチュンチュン。

しかしながら、主役が我が家にくるのは11時間後だ。
もはや朝っぱら、という時間から、自転車の空気入れを駆使し、
風船に空気を入れ膨らませる。
時には空気を入れ過ぎて「パン」とはじける風船。
それでもくじけず、20個くらいの風船を膨らませる事に成功した私は
そのまま眠りについた。

11時頃に目を覚まし、準備を再開させる。
13時。外出していたHANAと二子玉で待ち合わせる。
某店にて、さらに飾り付けのものを漁る。
なかなかいい物が見つかって満足し、ケーキやその他食材も調達した。

家に帰ると、時既に15時近く。
準備する時間がまるでない。
より飾り付けしたふうがでるように、あれやこれや。
脚立をあちらへこちらへ。
HANAは食事の準備でてんやわんや。
主役を迎えに行くのは僕の役目だったけれど
HANAが気を利かしてくれて、迎えに行ってくれた。
10分程時間を稼ぐことに成功した私は、
まずはパンチだ!と思い玄関にまで装飾を施す。
トルコで泊まったホテルのように、天井へ装飾。
涼しいわりに汗だくである。

ピンポーン

きゃーなにこれー!
と主役の声が聞こえる。

つかみはOKだ

部屋に招き入れると、パーティーが始まった。

HAPPY BIRTHDAY 30 ANNIVERSARY

その後、続々と友人たちがやってきて、
お祝いの言葉が飛び交い、パーティは成功しましたとさ。

めでたし、めでたし。