2020年10月18日日曜日

パズル

パズルが見事にカチカチと音を立てて組み合わさっていった一日だった。

朝、僕は久々に朝風呂に入った。朝の5時のことである。ネットフリックスを立ち上げ、適当な映画をチョイスしそれを見始めた。外は暗く、まだ夜と朝の狭間のような時間であった。映画を見始めると次第に空は明るくなってきた。それはすりガラス越しにも晴れていることが分かる空だった。

前日の土曜日、延期になった運動会の開催日だったけれど、願いを込めて作ったテルテル坊主の涙が降り注ぐが如くの冷たい雨の一日だった。そんな虚しい時を過ごしていた理子は、この気持ちを発散したがっていた。そういったわけで、日曜日はどこかへでかけようと思った。

風呂から出ると、すでに花さんと玲は起きてリビングにいた。うっすらとホットコーヒーの香りが漂う。まだ理子は起きていなかった。

「今日、どうする?」と僕は花さんに意見を求める。すると、すでにいくつか見当をつけていた。さすがである。

花さんが調べたところ、動物園や水族館などはすでに入場券が完売していた。きょうび、当日に思い立って上野動物園に行くことなどできないのである。候補としては、横浜に行って中華を食べる。後楽園遊園地にいく。こどもの国へ行く。などのアイディアが挙げられた。そして僕はこどもの国がいいんじゃないかと賛同した。晴れているし、理子はとにかく走り回りたいだろうと思ったのだ。そして最近練習しているなわとびもやりたいだろう、と。

そんな話をしていると低血圧ガールの理子が、眠い目をこすりながら起きてきた。我々の意見を彼女に伝えると、一気に目が覚めたようだった。

「9時半には家を出る」という宣言の元、我々は支度をした。

こういった時の姉妹の支度は早く、9時を過ぎた頃には支度が終わった。リビングの掃除はルンバにお願いした。「理子、ルンバさん出動だ!」そういうと、理子は「ほいきた!」と下に置きっぱなしになっていた小物たちをテーブルの上に避難させた。掃除の75%が終了したようなものだ。

大きな音を立てながら部屋を徘徊するルンバを不思議そうに眺める玲。玄関で靴を履こうとした時に突如グズリが始まった。スムーズに靴が履けなかったことが起因して玄関で大の字になってしまった。次女のぐすりは長引く、というのは定説なのだろうか。思いつく限りのことをしてみたがそれは収まらなかった。

このままでは理子もまずい、そう思い、花さんに玲を頼み僕は理子を外へ連れ出した。

外はいい天気だった。

しかし10分たっても二人は現れなかった。うっすらと外にも聞こえる泣き声。泣き止む方法を本人が忘れてしまったようである。理子は縄跳びの練習を始めてしまった。

結局、抱っこ紐に玲を詰め込んで家を出た。ずっしりと両肩に11キロがのしかかる。


電車に乗って溝の口に着いた時、ふと見上げたそこには友達一家の姿があった。コロナも相まって数ヶ月ぶりに会う友達の姿に、理子はとても喜んだ。久々に会った友達たちが交わす一通りの挨拶が済むと「で、今日はどちらへ?」というと、まさかのパズルのピースがはまったのであった。

「こどもの国だよ」

玲が泣き止むのがあと数分早かったら、または数分遅かったら。そおそもスムーズに靴が履けていて、玲が抱っこではなく歩きだったら。道端に咲く花に目を取られていなかったら。自動販売機で飲み物を買わなかったら。

いろんな可能性がある中で、こんなふうにパズルが組み合わさることがあるのだな、と思った。そして当然のことのように、このような過程を経てできたパズルはとても楽しく、新しい出会いもあり、彩り豊かなものになったのである。

2020年10月14日水曜日

納豆

 どういうふうにその傾向が形成されていったのか、日常のことであるのによくわからない。

理子はひきわりの納豆が好きで、玲はコンビニでも売っているような、いわゆる普通の納豆を好む。

そういったわけで、我が家の冷蔵庫には2種類の納豆がいつも鎮座しており、いつも同じ量減っていく。

理子は昔から納豆が好きだった。僕自身も好きだからそれも自然なことなのだと思われるが、ある時、ワンオペで夕飯の支度をし、理子と一緒に食べようとした時、「なっとう、ない!」と癇癪を起こした。納豆がない食事は私はいらない、といったふうで断固食事を摂ることを拒否した。僕は仕事終わりでおかずを作ったことでもう疲弊してしまっていた。しかし夕飯を食べさせないわけにもいかない、と思った。

僕は、「絶対にここから動いてはならない」と、理子に言い聞かせ椅子に座らせ、好きなテレビ番組を見せた。鍵をかけ、自分はコンビニまで全速力で走った。それはさながらスポーツテストに挑むように全速力だった。

行きは下りだったが、納豆を買って帰った帰り道は上り道である。そして自宅に到着するまでには階段を3階分上り、へとへとになりながら、テレビを見てご機嫌な理子嬢に納豆をうやうやしく献上したのであった。

我が家で納豆を語るだけでもこんな話もあるのである。


玲に至っては、それがチャーハンだとしても、納豆をかける。納豆は食事の入り口であり、食事そのものである。

今日は水曜日。冷蔵庫にはひきわり納豆が一つ。ノーマル納豆が一つ入っている。

幸せな金曜日を迎えるためには、明日にでもスーパーで2種類のそれを買わなくてはならない。



2020年9月22日火曜日

one day

 自転車

246

渋谷

文化村

ソールライター

ハンドタオル

スパイラルガーデン

青山ブックセンター

古本屋

ユニクロ

まんだらけ

パルコ

mid90s

同僚

自転車

246

ブックオフ

ブックオフ

テリーリチャードソン

711

自宅

電話

ムーンライト


2020年9月17日木曜日

いつの間にか

理子の身長が115センチになった。

保育園で毎月測定してくれている健康手帳を見るのがたのしみの一つなのだけど、それは何と言っても毎月少しだったり大幅にだったり、目に見えて成長しているのを見れるからである。

いつの間にこんなに大きくなったんだろう

その都度気づいたり、思ったりしていると思うのだけど、振り返って考えて見るとそれは「いつの間にか」という言葉に変わっている。

いつの間にか

食べられる野菜の種類が増えてきた

夕飯後、食べ終わった食器を片付けるようになった

夜寝る時絵本を読み終えるとすーっと眠るようになった(多分)

ちょっとした漢字を多分雰囲気で読めるようになった

これからいっぱいいろんなことができるようになって、その都度僕も感嘆の声をあげ、喜び、嬉しさを感じるのだろうけど、「振り返ったらいつの間にか」と思うことが増えていくのだろう。



2020年6月22日月曜日

ルーティン

僕が家事をするときは大抵近くにiPhoneがあり、youtubeやSpotifyで音楽を聴きながらということが多い。
僕が聴くものはブームがあるけれど、通年で聴いてるものはあまり変わることがなく、それは山下達郎だったり、緩めのヒップホップだったりする。

花さんとは2009年の9月に付き合いが始まって、気がつけば10年以上経っているのだけど、彼女はずっと僕のルーティンミュージックを聴き続けていたわけである。
僕がかけている曲を聴きたいわけでもないんだろうけれど、そんな日々を過ごしていた結果、この前はSLACKの曲を僕と一緒に口ずさんでいた。そんなに口ずさみやすいような曲じゃないんだけどな。

これがずっと一緒にいるってことなんだなって妙に嬉しくなった。