土曜
いつものように6時前には目を覚ました。
カーテンを開かなくとも、その向こう側に青空が広がっていることが分かった。
「あぁ、晴れたね。花ちゃん」と話しかける。
この日、二人の共通の友達の結婚式があった。
理子さんを臨時的に保育園に預け、式場へと行く。
日差しはじわじわと強さを増して、汗がにじむ程であった。
僕の職場の最寄りに結婚式場はあった。
いつもは花さんが僕の前を歩いて先導するところ、
これみよがしに「こっちだよ」と僕がエスコートした。
式場に着くと、ビデオ係を任命されていた僕は、
受付を済ませ、式場の外観や
新郎新婦が我々をもてなすために準備していた品々をカメラにおさめた。
チャペル内に案内されると、ビデオを撮るためにバージンロード側へ席を取り
その時を待った。
司会のアナウンスで、扉が開き、新郎が姿を現した。
髪を伸ばしているんだ、と前に会った時に言っていた新郎。
そうか、こういう髪型にするためか、と納得した。
すこし時間をあけ、新婦が扉の向こうでお母さんによってヴェールダウンされる。
美しい花嫁の姿がそこにはあった。
父親によってエスコートされる新婦。
それを迎える新郎。さほど緊張しているようには見えないが
ポーカーフェイスの彼の、その表情の内側には
これからの幸せな生活の姿を思い描いていたに違いない。
新婦を隣に向かえ、指輪を交換し、キスをする。
そんな姿を、カメラ越しに僕は記録していった。
結婚式は、単純にその主人公たる新郎新婦の幸せを願うだけではなく
どこか自分にフィードバックしてしまうところがあるように思う。
自身が結婚する前は、僕もいつかは結婚するのだろうか、
隣にいるのはどういう女性なのだろうとか思っていたけれど、
結婚し、理子さんが産まれた今、
僕もいつかは理子さんとバージンロードを歩く日がくるのかな、
花嫁からの手紙で泣いてしまうのかな、などと想像する。
未来の話だ。
式は新郎新婦がやりたいことが満載されたエンターテイメント感あふれるものだった。
ラルクアンシエルが好きで、ライブ会場で偶然出会った二人と言う、
シネマティックな出会いから始まった物語は、
これからも大きな虹を描いていくのだと思う。
二人の幸せを、心より願います
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