2014年12月6日土曜日

お食い初め

















理子さんがこの世で産声を上げてから早くも100日が経った。
自身に子どもを授かってから知ることというのは山のようにあるのだけど、
生後100日で、「お食い初め」なる儀式があるという。
子どもの健やかな成長を願って、というのがざっくりとした目的であるが、
鯛や、筑前煮、赤飯などを用意し、お宮参りした神社の石を用い歯固めの石として使用する。
僕と花さんの親に聞いたところ、そういった風習はないらしいが
スタジオでの写真撮影というオプションをつけることによって両親を東京に集結させた。

前日、車でやってきた僕の両親は家に泊まっていた。
花さんはお食い初めに必要な料理を一人で作って用意してくれており、
僕はグリルで鯛を焼く係になっていた。
僕は魚屋のおじさんに聞いた通り、弱火でじっくり実行した。

赤飯も炊きあがり、鯛もおいしそうに焼くことができ、
着々と準備は整った。

正午前に、二子玉川へと電車で移動し、花さんの両親と落ち合う。
お義母さんは、産まれて間もなく2週間近く我が家でお世話をしてくれていたけれど
それ以来の対面である。
頬の筋肉はこれでもかというくらいに緩んでいた。

駅からすぐ近くのスタジオへと足を運ぶと、
そこはまるで戦場のようだった。そして、雄叫びともなんとも言い表せない言葉が飛び交っていた。
なんだかすごいところにきてしまった、とその時は思った。

受付を済ませると、写真撮影のための衣装を選んだ。
その間も、子どもたちはそこらじゅうを走り回り、親たち、はたまたじじばばたちによって制止されていた。

衣装を決め終えると、スタジオブースへと入る。
そこは実に簡易的なスペースだった。
カメラマンのお兄さん、子どもをあやすアシスタントのお姉さんのセット。
スタジオマン独特のゆるいスリッパを履いていた。

いくつかのパターンを撮ってもらったのだけど、
お姉さんのかけ声がすごかった。
「りこちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
「そうぅううううううううううううううううううううううう」

いったいどこから声が出ているんだろう、と不思議にそしてついつい笑ってしまうかけ声。
比較的理子さんは大人しく、ぐずることなく淡々とカット数をこなしていく。
隣のブースでは、「焼き肉と寿司どっちが好きーーーーーーーーーーーーーー?」
とここはどこなのだろうと思わせるかけ声が響いていた。

両親含めた集合写真、3人、1人と、撮影を無事に終えることができた。
その後、カメラマンが粗セレした写真を見て、花さんと2人で選んだ。

撮影を終えると、家へと帰り、ついに儀式のスタートである。
一番年長者から、鯛やら筑前煮やらを理子さんの口元にちょんちょんとつける。
立派に歯が生えるようにと願いを込める。
健やかな成長を願う。

ふと、この3ヶ月を振り返る。
意思と言えば、自分の欲求を伝えるだけだったのに、
ここ最近では、ものを見ることや、掴むことを覚え、首もほぼ座ってきていた。
僕の目を見て笑い、感情の表現の幅が広がってきたように感じる。
睡眠のサイクルも、花さんのおかげで一定し、9時には寝て、朝の6時くらいに起きるという安定ぶりである。
毎日、どれだけ「かわいい」という言葉を口にしているのか。
子どもへの愛情が深まっていくことを、毎日実感する。



儀式も一通り終わると、大人たちが食事を開始する。
大人たちは、赤子のにこやかな顔を肴に酒を飲んだ。

こういった節目に、自分の親たちと過ごせたことを幸せに思う。

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