2022年1月17日月曜日

パパはミッキー

 「ミッキーーどこいるのー?」とは玲の言葉である。ここは夢の国ではなく、自宅で私を呼んでいるのである。対してミニーはぬいぐるみである。私は男だからミッキーを仰せつかった。

玲の中では男と女が明確にあるようだ。男は格好いいし女はかわいかったり綺麗だったりするという感覚らしい。昨今ではあまり声高には言いづらい感じがしなくもないけれど彼女の中ではそういうものなのだ。

今日は花さんも在宅で、昼食を食べにパスタ屋に行った。こうやって面と向かってゆっくり話をするというのは大人同士の食事の時に限られる。家で話をしていても、子供たちに腕を掴まれ、話の腰を折られ、寝ていても腹を蹴られる。

仕事を終えると、まず玲を迎えに行った。外ではミッキーと呼ばれたことはない。パパー!である。キャンディー屋でも「パパにはぶどう味ね」だった。

理子を迎えに行くとコーチにいつものように遊んでもらう毎回新鮮なリアクションで楽しそうな玲である。

家に帰るまでに話をするのがスイッチの切り替わりタイムである。

いつも見る一軒家のガレージの大きな扉が板チョコみたいで美味しそうだとか、お月様がきれいだとかそういった話をしながら帰る。

玄関を開けるまえに、「今日の夕飯はなにかなー」と嬉しそうな理子。

花さんが夕飯を作っているところを見ると「手伝うー!」と率先してやろうとする。

素晴らしい理子である。

バスキア

 「世田美に行こう」と花さんが誘ってくれた。私が以前チラシを見せて、行ける時に行きたいと言っていたのを覚えてくれていたのだった。

それは音楽にまつわるアート展でバスキアや大竹伸朗などが見れるとのこと。見た後は砧公園で遊べばいいということもあり、午前中から出かけることにした。

日差しにあたると暖かいけれど、基本的には寒いので花さんのスヌードを勝手に借りた。みんなで自転車に乗って出発する。

いい天気で実に公園日和だった。世田谷美術館に入ると、まず検温をし、マスクをしていない玲のことを咎められる。売店で売ってるということを伝えられ「着用しなくては入れないわけでもないけどね、察して」といったふうだった。3歳の玲が大人しくつけることなどありえないけれど、こちらもポーズとして売店で買って一応身に付けさせた。すぐさま玲が自分で取り去ったのは言うまでもないのだけど。

会場の外からなんとなく感じてはいたのだけど、この展示はメインではなかったらしく、200円という入場料だった。メインの方と合わせるとお得であるということを言われたけれど、結局足早に見て終わってしまうので、当初の予定通りにした。

展示は横尾忠則のポスターから始まり、広いフロアでいろんな美術家、芸術家の作品が展示されていた。目玉はなんといってもバスキアと大竹伸朗、アンリルソーといったところか。

学芸員の方々は子連れの我々に幾ばくかの警戒心を軽く持った様子で、子供の挙動を見守る。私だって何億とする作品の前で3歳児を野放しにするわけではないのだけど、やはり偉大な作品を前にすると手に汗をかいてしまう。

花さんは気を遣ってくれて、理子と玲を連れて会場の外へ行ってくれた。私はもう少しゆっくりと見て回った。なかには荒木経惟の大きな写真作品もあった。

バスキアの力強さは言うまでもない。大きなものを作ろうという前に、自分が描きたいものを考えたら必然的にこの大きさになってしまった、という感じがする。具材が立体的に重ねられて力強く、またカラーコピーのようなものを重ねて貼り付けているような質感があった。

そのほかに気になった作品は、アドルフ・ヴェルフリという人のもので、絵の中に五線譜のようなものがあり、音符で模様のようなものを形取っていた。しばらくその場で鑑賞する。理子にもちゃんと見せてあげたいなと思った。モチーフがわかりやすいのである。

それからみんながいるところに戻って、理子だけ連れてもう一度会場に向かう。そしてバスキアとヴェルフリのところに行き、作品を見せてみた。とにかく本物を見るという機会を作るというのは大切なことだと思う。この瞬間に何かを感じ取ることは難しいかもしれないけれど、記憶力のいい理子は、いつか大きくなったときにふと思い出すかもしれない。親ができるちょっとしたことである。そんなことを今年も積み重ねていけたらいいなと思った。


2022年1月16日日曜日

一人時間の過ごし方

 かくかくしかじかで、土曜日に一人時間が与えられた。いきなり自由を与えられても人は何をしていいのかわからなくなるものらしく。困った。

理子は半日授業で、帰ってくるまで家事をした。掃除機をかけ、仕舞いきれていなかった子供服をしかるべき位置に収納したりした。

自転車置き場に行き、自分のと兼用自転車の2台の空気を入れた。意外と億劫な作業なのでこういったときにやるのがいい。


理子が帰ってきて、代わりに私が出かけて行った。理子たちは友達の誕生パーティへと行くのだった。

私は空気を入れて少しばかり軽快に進む自転車に乗って、246を走る。以前まで乗っていたスペシャライズドのピストは撤去なのかパクられたのかしてしまい、いずれにしても私の手元から無くなった。かわりに無印で花さんとも兼用できるミニベロと呼ばれる車輪の小さな自転車を買ったのだけど、ちょっとそこまでならいいかもだけど、やはり長距離向きではない。いつかはまた自転車を買い直したいものである。

246を走っていると、電柱や看板の柱などの一定の高さの位置に縦組みで「wanto」の文字が見える。ピストに乗って一気にbombしているのかもしれない。TOMのタグも見つけてついつい写真に撮ってインスタに載せる。

駒沢のブックオフによる。洋書コーナーを見ると「KRINK」や「ソールバス」の写真集がある。随分とニッチなチョイスである。

店を出ると、駒沢通りへと出て、それから目黒通りへ。サムエムに通っていた時代の通勤路にでたが、いまいち街並みを思い出せない。こんな感じだったかな?というくらいだ。

目的の場所は下目黒の「BLITZ」というギャラリーで、ステーキの名店リベラを曲がってしばらく行ったところにあった。

テリワイフェンバックの展示を見るためにきたのだけど、このギャラリーにきたのは初めてだった。ギャラリーにしては珍しいと思うが、音楽がかかっていた。室内は私一人で、ゆっくり、じっくりと見ることができた。光を見つけて写真にするのが綺麗な人という印象。鈴木理策さんや川内倫子さんをふと思い起こさせる。


ギャラリーを後にすると、次の目的地へ。

目黒通りをさらに目黒方面へ進み、大鳥神社を中目黒方面へと曲がる。

もう膝が痛い。自転車の相性なのか、単純にあの頃よりも体のガタが来ているからなのか、わからない。次の目的地は池尻大橋で、中目黒を通るので寄り道をした。

「フィフスジェネラルストア」である。気になっていたアウターを見たかったのだ。とはいえ試着はせず、店内をふらふらと見て回ってから出た。リアル店舗でどうやって過ごせばいいのかすっかりわからなくなってしまったようだ。

また自転車を漕いで「voild」へ。場所は覚えていて難なく到着したのだけど、どういうわけか扉が開いていなかった。調べてみても特に休業ではなさそうだったのだけど残念だった。

それから渋谷へ。電気屋でカメラを見たかったのだ。ヤマダ電機にはデジタルカメラのコーナーがなかった。とても大きな店舗なのに、この店においてはデジカメというのは不要らしい。ビックカメラに行くと品揃えは豊富だった。

フジかソニーがいいなと思って物色した結果、やはり今使っているものの延長で考えようという結論になり、XS10というのが気になった。お値段は15−8万。おいそれと買えるものではないのでカタログだけ持ち帰った。

16時近かったのだけどお昼ご飯を食べていなかった。私というのは一人で行動すると食事や休憩というのが蔑ろになりがちである。

246をまた走り、三軒茶屋の味噌一でラーメンを食べた。久しぶりの味。まだ理子も玲もいなかった時代の、夜通しで働いていたあの頃の濃い味だった。

まだ空が明るければ下北沢にも寄ろうかと思っていたのだけどもうそんな元気もなくなってしまった。またブックオフに寄ってみる。洋書コーナーにはなにもなかった。理子の本を探してみる。宮澤賢治にどはまりしているのでなにかないかなと見てみると「銀河鉄道の夜」があったので買うことにした。

帰り道、MKUEのタグも見つけて、ちょっと興奮する。主要な道を自転車で走って街中のグラフィティを見るのは本当に楽しい。写真に撮って、やっぱりインスタにアップする。

それからは寄り道もせず、家に帰った。家人は誰もいなかった。洗濯を取り込み畳む。

お風呂に湯を張り一人で入った。


風呂から出るとビールを飲みながら、録画してあった「紅の豚」を見た。豚が飛行機を修理するところあたりでみんなが帰ってきた。

そうやって1日が終わった。

2022年1月14日金曜日

偶然

 今日は自宅の補修工事の人が朝から来ていた。もうかれこれ1年以上も壁からの漏水に悩まされていて、今回は最終手段に近いくらいの流れでの工事である。朝の9時から16時近くまでかかるということだったのだけど、意外とあっさり11時頃に終了した。

花さんも今日は在宅で、変わりばんこに食事に出ようと言う話だったのだけど、その必要もなくなったので一緒に食事にでることにした。

ああだこうだと言って悩んだ結果、駅前のカレー屋に行った。店に入ると奥に見慣れた夫婦がいるではないか。同じマンションの住人である。「○○さん!」と思わず声をかけ、隣の席に座った。

このご時世なのでついたてがしてあったのだけど、それをどかして会話をする。子供なしで4人が揃うことなどないに等しいので、邪魔をされない会話を楽しんだ。

食事を終え、階段を降りると気の緩みなのか階段を踏み外した。後ろで大笑いする花さん。

足に異常はなくてよかった。もうアラフォーなのである。気をつけなくてはならない。


花さんは寄るところがあったので、店の前で別れると、向こうのだんなさんも銀行に行くと言う。そうして夫婦がシャッフルされた形で同じマンションへ帰宅した。

仕事を再開し、表紙のデザインをし18時に終了する。

娘たちを迎えに行き、家に帰ると食事ができていて、平日に久々にビールを飲んだ。そんな気分だったのだ。

2022年1月13日木曜日

隣の女

お昼ご飯を外に食べに行った。2週に一度くらいの割合で行く老舗の定食屋である。
そこは歩いていくには、ちょっと遠い距離なのだけど、一日中パソコンを見ているので
意識的に歩かないと体がおかしくなってしまうからちょうどいい。

道中、高校があり校庭では体育の授業が行われているようだった。校庭内を走っている姿が見える。完全にこの子たちに体力で勝てないなと思いながら店へと向かった。
14時を過ぎていたけれど、つい立てで仕切られたカウンターは満席だった。
一番端の席を通され、私は煮込み定食を注文する。
数分で出てくる早さも魅力の一つである。

煮込み→煮込み→ご飯→煮込み
といった具合に箸を運ぶ。隣の席の女性は、同僚であろう男性とずっと話しながら食べている。

すると、男性は先に食べ終わったようで店を出て行った。女性はマイペースで食事を続けている。カウンターにいた客は次第にはけていき、私と見知らぬその女性の二人となった。しかも隣同士である。
勝手にきまずい私とは裏腹に、その女性は券売機に向い、納豆を追加注文していた。確かにこの店の普通盛りは大盛りである。フードロスするわけにはいかぬと納豆で乗り切ろうとしているらしい。

ようやく私は煮込みを食べ終えた頃、隣の女性はまた席を立ち上がった。どうやらお手洗いのようである。私も帰り支度をしようとすると、ふと隣の席に置かれたケータイが目についた。そしてさらにファスナーが開けられ中身が丸見えの鞄。
私だったら席を外れる時は上着は置いて行くにしても荷物は持っていくよな、と思ったのと同時に、あらぬ疑いをもたれるのは嫌だなとも思った。
異常に冤罪を恐れる私。満員電車では無理やりにでも両手を持ち手にかけるべし。
足早に席を離れ、いつもより少し声大きめで「ごちそうさまでしたー」と声をかけ店を出た。

とこの話を夕飯の時に花さんにしたところ、確かにすぐさんは一箇所を見つめる癖があるよねと言う。めっちゃ怪しいじゃん私。

2022年1月12日水曜日

心の葛藤を口にする

 今日は一歩も外に出ない日だった。

朝、当然のように玲は、断固パパ拒否のためママが保育園に付き添ってくれた。

お昼ご飯は出そびれて家で済ませ。

帰りも花さんが二人をピックして帰ってきてくれた。


夕飯後、理子の宿題で揉める。

計算カードを忘れて自作のプリントを作ってやることになったのだけど、どういった計算なのかを私が把握しきれてなく、習ってないものを作ったことに憤慨している。

そこで、お風呂の後にやり直す?と聞くと「ぐぬー」とか「うーぬーむー」とか唸りながら

「なんで自分でもこんなにイラつくのかわからない」と言ったのだった。

なんという独白。

こういう気持ちの持って行き場のない感じとかって今後いっぱい増えるんだろうなと思った次第。でもそういう状態だって言えたのは偉いなーと思った。

2022年1月11日火曜日

青森

 久方ぶりに訪れた青森は深い雪が一面に広がっていて、私が初めて青森に訪れた時のことを思い起こさせた。

例年なら新幹線の改札前で、満面の笑みでお父さんが迎えてくれていたけど、今回は三沢空港での再会だった。2年ぶりで、少し照れ臭そうに理子は挨拶をし、玲はママの後ろに隠れていた。

車に乗り込み、青森でも数年振りという豪雪の中を行く。見渡す限りの銀世界。なにもかもを覆い尽くしていて、見えるものは森の濃い緑ばかり。それ以外なにも見えない景色なのに不思議と心が躍った。

途中、食事をとることにした。回っているけどレーンには寿司はなく、全て注文制の回転寿司だった。お腹いっぱいごちそうになった。

家に着いてお母さんと再会した。元気そうで何よりである。理子は庭に積もった雪に大興奮し、早く遊びたいと嬉しそうだった。

予め送っておいた雪遊び用の一式を着込む理子に対して、手袋はおろか上着すら着ないとごねる玲。軒下には屋根から雪が落ちてできたであろう天然の傾斜ができており、そこでそり遊びに興じた。うまく滑れなくてずっこけてしまうのすら面白い。寒いことも面白いといった感じで理子は楽しそうだった。でも一番楽しんでいたのは花さんだったに違いない。理子に混じってそりを楽しんでいた。


しばらく遊んでから室内に入ると、お父さんは豊盃酒という、木箱に入っていかにも高級そうな日本酒を出してくれた。すっかりタバコをやめたというお父さんと久方ぶりに乾杯した。

続いて出てくる毛蟹。貪り食うとはこういうことか、とその言葉を体現するように食べる食べる食べる。青森という場所で食べると尚美味しいといった味。東京の家で食べてもこのような食べ方にはならないと思う。

ハーフボトル?の酒は比較的早い速度でなくなって、贅沢ないつもの田酒をいただく。これは誰かからの頂き物とのことで、地方暮らしというのはこういったことなんだよなと羨ましく思う。

夕飯は花さんがすき焼きを用意してくれたものをいただいた。肉は、イオンなどのスーパーではなく、地元民が足を運ぶ肉専門店へと行って買ったものだった。


録画してあった紅白歌合戦の「残酷な天使のテーゼ」をなぜか繰り返し見る理子。しまいには口ずさんで歌っていて面白かった。

私は早々に風呂に入ることを諦め、ただただ酒をくらって土曜日が終わった。


夜中、ザッザッザッと雪を踏むような音がして薄気味悪かったのだけど、翌日花さんに聞いたら屋根から雪が落ちた音じゃないかとのことだった。


日曜日。午前中は引き続き雪遊びをすることにしたが、雨が雪に変わり、また晴れたりして安定しない天気だった。

それでもお構いなしで、理子はかまくらを作ることに挑戦していた。私は裏庭のほうにまわって、探検することにした。

雪が何十センチと積もっていて、どこに側溝があるのかもわからないような状態で、恐る恐る歩みを進める。

いつ見ても、ここからの景色は広大すぎる。雪があると奥行きが不確かになって、どこまでもこの世界が続いているような気すら起きてくる。

ふと足元をみると細かな歩幅で小さな足跡があった。鳥が歩いたようないかにも3つ股のものではなく、獣といった風のそれに少し背筋が凍ってしまった。そそくさと家の方に戻る。

玄関脇に積もったところを掘って、理子はいい感じのくぼみを作っていた。もう少しでかまくらと呼べるものができそうだった。


しばらくすると、雪遊びを一区切りさせて、またお出かけすることになった。地元民が集結するイオンモールである。

そこのフードコートで食事をする。理子はここへきてまでもマクドナルドを食べ、私は初めてペッパーランチというヤンチャな食べ物をチョイスした。

お父さんは早々に食べ終わって、ひとり時間を満喫しているようだった。私たちは食べ終わると子供たちのご機嫌とりタイムとなり、ゲームセンターへと向かった。理子は30分500円のアスレチック。玲はアンパンマンやトーマスの乗り物に興じている。

お父さんとの待ち合わせの時間までがっつりと遊んだ。

店内では、通り過ぎる人のなかで成人式帰りであろう集団がいた。なんでここにいるんだろうね?と花さんにふってみると、他にいくところがないからだろうとのことだった。


イオンを出ると、白鳥の飛来地へと向かった。以前もここに来たことがあったのだけど、玲は当然初見である。白鳥とともにかもめもたくさん群れていた。近くの小屋でえさが100円で売っていたのでそれを買い、餌やりをすることにした。

玲はかたくなに拒否したけれど、理子は率先して楽しんでいた。意外にもお父さんも参加していた。餌を放ると、かもめの方が小回りが効くようでうまく餌にありついていた。白鳥は長すぎる首をうまく使えずクネクネして食べれないようだった。

水辺ということもありかなり冷えるのだけど、玲はやっぱり上着を着てくれない。氷のように冷たくなった手を握って少しでも温めることにつとめた。

ふと遠くを見ると、ここにも成人式帰りのカップルがいた。イオンよりは少しロマンチックだけど、きっと足の消毒はしていかないだろう。


飛来地を後にし、温泉へと向かった。そこはいつもお正月に行くところで、りんご風呂に入ることができる。

お父さんとシャンプーをシェアさせてもらい、入る。こんな時期ではあるけど結構混んでいる。室内に露天、電気にジェットと一通り楽しんでいると待ち合わせの時間となった。前よりも長く入っていることが苦にならなくなったような気がする。

風呂から出ると当然のようにコーヒー牛乳を飲む。うまい。すごくうまい。理子と玲の面倒を見ながら入らなくてはならない花さんは疲れがあまり取れていない様子で出てきた。来年はもっと楽になるだろうか。


外に出ると雪がまた強く降っていいた。



家に着くと昨日の続きの田酒をいただく。そして毛蟹、ほたて、いくらと海産物のオンパレード。お父さんと酒を飲み交わす。

もうお風呂に入ってあるから、だいぶぐいぐいと飲むことができた。

最終的には花さんも飲んで、一升瓶を空けていた。理子と玲は、廊下でお母さんとボーリングをして楽しんでいた。ずっと花さんに隠れていた玲だったのだけど、これを境に仲良くなっていた。仲良くなった頃に帰らなくてはならないのだけれど。


一番奥の部屋に立派なピアノがあって、理子がそれで「喜びの歌」を弾いていた。お父さんは「ベートーベンだね」と嬉しそうにピアノを聴いていた。

部屋の奥の方から聴こえる誰かが弾くピアノ。それを聴きながらゆったりとした時間を過ごすというのは一つの幸せの形と言っていいと思う。


月曜日、祝日。

目を覚まし、ご当地パンのイギリストーストを食べる。それからまた雪遊びをする。青空が広がるいい天気だった。

理子は昨日の続きで、かまくらづくりに勤しんでいる。昨夜に雪がまた屋根から落ちてきて、大量の雪がある。材料はばっちりである。

しばらく掘り続けると理子がすっぽり収まるくらいの大きさの穴があいた。理子はすっかりご満悦の様子だ。

『青森に行ったら、雪合戦して、そり遊びして、かまくら作るんだ』と理子は言っていたのだけど、全てを叶えることができた。

花さんは、ふわふわの雪にダイブして、雪を青森を満喫し、玲は上着も着ないで早く家に入りたそうにしている。それぞれである。


お昼ご飯を食べるとあっという間の滞在が終わる。せっかく慣れてきた玲ではあるのだけど、次来るときはもっと愉しめるだろうと思う。

お母さんとお別れをし、お父さんに三沢空港まで送ってもらう。空港の脇にある航空公園で雪に埋れた遊具で遊んでから帰った。

次会うときはマスクなしで会いたいものである。